調査シリーズNo.175
子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査2016(第4回子育て世帯全国調査)

平成29年10月30日

概要

研究の目的

本調査は、2011年、2012年と2014年に行われた第1回、第2回と第3回「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査」(略称:子育て世帯全国調査)に続く第4回調査である。

子育て世帯の生活状況と保護者の就業実態などを調査し、今後の保護者の仕事に対する支援策のあり方等を検討するための基礎資料を収集することが主な目的である。

研究の方法

  1. 調査対象の母集団 :末子が18歳未満のふたり親世帯またはひとり親世帯(全国)

    (※いずれも核家族世帯に限らず、親族との同居世帯を含む)

  2. 調査方法:訪問留置き回収法
  3. 標本数:ふたり親世帯2,000 ひとり親世帯2,000
  4. 標本抽出方法:住民基本台帳から層化二段無作為抽出
  5. 調査期間:2016年11月~12月(原則として11月1日時点の状況を調査)
  6. 有効回収数:2,159票

    (内訳)ふたり親世帯1,380票、母子世帯693票、父子世帯86票、その他世帯0票

  7. 有効回収率(世帯計):54.0%

主な事実発見

  • 子育て世帯の平均世帯収入は増加、貧困率は改善されている。子育て世帯の平均年収は683.2万円で、引き続き増加傾向にある。税込収入が300万円未満の低収入世帯は全体の8.6%、調査開始以来もっとも低い割合である(図表1)。可処分所得が貧困線未満の世帯の割合は、子育て世帯全体10.2%、ふたり親世帯6.0%、ひとり親世帯43.0%、いずれも前回調査時より改善されている。

    図表1 子育て世帯の税込収入の推移

    図表1

    注:ひとり親世帯のオーバーサンプリングと地域ブロックごとの有効回収率の違いを補正した集計値である。以下同じ。

  • 子育て世帯の平均消費額は減少、貯蓄率は上昇している。家計費の月額平均は、子育て世帯全体26.5万円、ふたり親世帯27.5万円、ひとり親世帯18.0万円となっており、いずれも前回調査時より減少している。子育て世帯の平均貯蓄率は、子育て世帯全体28.3%、ふたり親世帯31.0%、ひとり親世帯5.7%、いずれも前回調査時より上昇している。
  • 高収入夫を持つ女性の就業が一層進んでいる。妻の無業率は、夫の所得が第Ⅰ、第Ⅱ、第Ⅲと第Ⅳ四分位層においては、それぞれ24.6%、24.2%、35.7%と31.1%となっている。上位25%収入層(第Ⅳ四分位層)夫を持つ女性の無業率は、前回調査時より8ポイント下がり、調査開始以降はじめて順位が1位ではなくなった。
  • 正社員として働く母親が増加している。無業である母親の割合は28.2%で、前回調査の結果とほぼ同じである。一方、正社員である母親の割合は24.6%で、前回調査時より3ポイント上昇している。正社員割合は、短大以上の高学歴母親が28.8%で、低学歴母親に比べて11ポイント高い。
  • 短時間勤務制度の利用が進んでいる。これまでに短時間勤務制度を利用したことがある母親の割合(時短経験率)は、10.8%である。正社員女性の「時短」利用がとくに進んでおり、時短経験率は、第2回(2012)調査時の19.3%から27.5%に上昇している。
  • 「非正規・パート主婦」の約7割は、配偶者控除の収入限度額以内で働いている。非正社員として働く有配偶の母親、いわゆる「非正規・パート主婦」の68.2%は、配偶者控除の収入限度額である103万円以内で働いている。「第3号被保険者」の収入限度額である130万円以内で働く者と合わせると、「非正規・パート主婦」の約8割はいずれかの限度額内に収まる収入額で働いている(図表2)。

    図表2 「非正規・パート主婦」の年収分布 (%)

    図表2

    注:ふたり親世帯の非正社員として働く母親に関する集計結果である。

  • 父親の家事・育児参加は緩やかに増加している。家事時間ゼロである父親の割合は、32.2%であり、前回調査時より4ポイント低下している。夫婦が行っている家事・育児の総量を10として、父親がその半分以上を分担していると回答した世帯の割合は、前回調査時の8.2%から9.7%までに上昇している。
  • 保護者が望む公的支援の1位は「金銭的援助」、2位は「保育サービス」である。ふたり親世帯に比べて、ひとり親世帯は「金銭的支援」を選ぶ割合が比較的高い。3歳未満の児童の保護者は、「保育サービス」と「休業・休暇の期間延長」を選好する傾向がある。

政策的インプリケーション

  1. 子育て世帯の収入が増加したにもかかわらず、消費の拡大が見られなかった。子育て世帯の将来不安を解消することが、内需拡大と経済成長につながる。
  2. 「主婦パート」の約8割は、103万円または130万円以内で働いている。税と社会保障制度が女性就業への抑制効果を見極める必要がある。
  3. 子育て女性への一連の就業支援制度(育児休業、短時間勤務、マザーズハローワーク)の利用が順調に伸びており、制度へのニーズは高いことが確認できた。

政策への貢献

子育て世帯への就業・経済支援のあり方において、本調査研究の結果が貴重な基礎資料となる。

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「働き方改革の中の労働者と企業の行動戦略に関する研究」
サブテーマ「育児・介護期の就業とセーフティーネットに関する研究」

研究期間

平成28~29年度

執筆担当者

周 燕飛
労働政策研究・研修機構 主任研究員

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