調査シリーズNo.172
人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査結果(企業調査)

平成29年8月31日

概要

研究の目的

「日本再興戦略」改訂2015でも人材等への投資により生産性を高めることが重要と指摘されるなど、人材育成や能力開発の必要性が高まっている。こうしたなか中小企業では、時間的、資源的制約やノウハウの不足などを背景として人材育成・能力開発が不十分なものになりがちであることから、中小企業の現状や今後の活動の方向性に即した政策的支援の必要性が高い。また、特に中小零細企業の教育訓練の実態を把握する必要があるとの指摘もある。そのため、既存の統計調査(能力開発基本調査)では調査していない小規模な企業(30人未満)も対象に加え、人材育成、能力開発の実態を把握するための企業調査を実施した。なお、本調査は厚生労働省職業能力開発局(現・人材開発統括官)からの研究要請を受けて行った。

研究の方法

企業アンケート調査(郵送方式)

調査対象は、日本標準産業分類に基づく「建設業」、「製造業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「金融業,保険業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」(その他の生活関連サービス業のうち家事サービス業を除く)、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」、「複合サービス事業」、「サービス業」(他に分類されないもの、外国公務を除く)に属する従業員数5人以上の企業20,000社。平成26(2014)年経済センサス基礎調査(確報)での企業分布に従い、民間信用調査機関所有の企業データベースから業種・規模別に層化無作為抽出した。

主な事実発見

  • 9人以下の企業になると、4社に1社の割合で人材育成・能力開発について特に方針を定めていない。

図表1 従業員に対する人材育成・能力開発の方針

図表1画像

  • 企業が実施しているOJT(On the Job Training)のトップは(複数回答)、「とにかく実践させ、経験させる」(59.5%)。「仕事について相談に乗ったり、助言している」も半数(50.8%)が実施。

図表2 日常の業務のなかで、従業員に仕事を効果的に覚えてもらうために行っている取組(OJT)(複数回答) 単位:%

図表2画像

  • 平成27年度にOFF-JTを実施した企業は約4割(39.9%)にとどまるものの、OFF-JTを実施した企業のほぼ9割(88.7%)が、効果があった(「効果があった」+「ある程度効果があった」)と認識。

図表3 平成27年度に実施したOFF-JTに対する評価 単位:%

図表3

政策的インプリケーション

小規模企業になると、人材育成・能力開発についての方針を定めたり、計画的なOJTを実施するところが少なくなるが、OJTがうまくいっている企業ほど従業員の能力に満足にしていたり、OFF-JT実施企業の多くがその効果を実感していることから、規模を問わず人材育成・能力開発の取組は引き続き重要となる。

政策への貢献

人材開発行政にかかる政策立案のための基礎資料として活用される。

本文

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研究の区分

研究期間

平成28年度~29年度

調査実施担当者

郡司 正人
調査部次長
藤本 真
人材育成部門主任研究員
荒川 創太
調査部主任調査員補佐

関連の研究成果

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成果普及課 03(5903)6263

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