調査シリーズ No.134
多様な就業形態と人材ポートフォリオに関する実態調査(事業所調査・従業員調査)

平成 26年 12月19日

概要

研究の目的

本調査では多様化する正社員の雇用管理と非正規従業員の活用の関係性に注目し、人材ポートフォリオの実態を探索する。特に、正社員の要員数、比率、雇用管理が非正規従業員の活用に及ぼす影響に注目する。非正規従業員の活用や教育訓練・能力開発の状況を把握し、正社員登用の可能性を探る。また、産業別に非正規雇用化が進んでいる業種があることに鑑み、産業別にわかるように集計している。

研究の方法

アンケート調査(事業所調査および従業員調査)

主な事実発見

1.人材ポートフォリオの変化について

  • 過去3年間の事業所の就業形態別人数の増減をきいたところ、「正社員」は「減った」の割合が「増えた」より高い割合を示している。非正規従業員については、いずれの就業形態でも「増えた」割合が「減った」よりも高くなっている。(本文表3-2)
  • 正社員の不足を感じている事業所は75.1%。特に若年層での不足を感じている。(本文図3-3)
  • 今後3年間の正社員増減の見込みをきいたところ、「増える」(29.0%)が「減る」(5.6%)を上回っている。特に割合の高い産業は、「情報通信業」、「学術研究、専門・技術サービス業」、「建設業」、「職業紹介・労働者派遣業」である。(本文表3-3)

2.正社員比率との関係性について

  • 正社員比率が「2割未満」の事業所割合が高い産業は、「飲食料品小売業」、「生活関連サービス業」、「娯楽業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「職業紹介・労働者派遣業」である。(本文図3-2)
  • 正社員比率が「2割未満」と低い事業所では、「5割以上」の事業所に比べて、正社員増加の見込みの割合は10ポイント以上低い。(本文表3-3)
  • 正社員比率が低い事業所では非正規従業員の仕事は広範化、高度化、増加している(図表1)。

図表1 非正規従業員の仕事の変化(事業所票)(本文表4-8より転載)

図表1画像

注)同一カテゴリ内の差が10ポイント以上高い値にめやすとして網がけしている。

図表1拡大表示

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  • 正社員比率が低い事業所では「契約社員」の所定労働時間がフルタイムに近づく。(本文表7-2群)
  • 正社員比率が低い事業所では、次年度の人員体制を決める際、現行の要員数よりも総額人件費予算から先に決まる。(本文表15-4)

3.非正規従業員のキャリア形成の状況について

  • 事業所で実施している能力開発のしくみの適用状況の割合は、「契約社員」>「パート・アルバイト」>「派遣社員」の順である。(図表2

図表2 非正規従業員に実施している能力開発(複数回答、事業所票)(本文図5-1より転載)

図表2画像

  • 正社員比率が低い事業所では非正規従業員の能力開発の方針が全社統一的にあり(本文表5-1)、今後さらに力を入れていく方針がみてとれる(本文表5-7)。

4.非正規従業員の正社員登用について

  • 登用制度があるのは、大企業、「飲食料品小売業」「金融・保険業」等である。(本文表10-1)
  • 登用実績があるのは、正社員比率「2~5割」の事業所、「娯楽業」「医療・福祉」「職業紹介・労働者派遣業」、経常利益が過去3年間の間に増えている企業の事業所である。(本文表10-2)
  • 登用実績がある事業所にきいたところ、登用後の配属部門は登用前と同じである割合が8割を超え、登用後の年収の傾向は「1割程度上がる」が40.4%、「2割以上上がる」が38.4%で、合わせると78.8%となる。(本文図10-2群)
  • 実際に登用された者は、登用時の年齢が20代後半であった割合が最も高い。また、登用までの年数は3年以内の割合が73.3%を占める。(本文図10-5群)職種は「事務職」、「医療福祉・教育関係の専門職」の割合が高い(本文図10-6)。
  • 今後の事業所における登用見込みは、「増える」割合が「減る」を上回っている。特に「医療・福祉」分野での割合が高い(本文表10-6)。

政策への貢献

非正規雇用関連法政策。

本文

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研究の区分

プロジェクト研究 「非正規労働者施策等戦略的労働・雇用政策のあり方に関する調査研究」

サブテーマ「正規・非正規の多様な働き方に関する調査研究」

研究期間

平成26年1月20日~2月12日

担当者

小野 晶子
労働政策研究・研修機構 主任研究員

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.84)。

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