調査シリーズ No.129
職業資格の取得とキャリア形成に関する調査
(WEB調査結果の概要)

平成 26年 10月31日

概要

研究の目的

職業資格の取得とキャリア形成の実態を把握し、中長期的なキャリア形成支援に向けたキャリア・コンサルティングの基礎資料とする。

研究の方法

WEBモニターへのアンケート調査(2014年3月実施) 。

有効回答数 職業資格所持者8,316人、職業資格取得を希望する未所持者1,011人。

主な事実発見

資格取得の時期は、働きながら資格を取得した人が6割弱、在学中が3割、仕事を辞めて、または求職活動をしながら取得した人が合わせて1割という構成になっている(図表1)。

図表1 資格取得時期

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  • 資格取得に関して課題となったこと、苦労したことを取得時期別にみると、働きながら資格を取得した人では「仕事との両立」、在学中に取得した人と仕事を辞めて取得に専念した人は「費用の負担」、求職活動中に取得した人は「資格が実際に役立つかわからない」を最も多くあげている(図表2)。

図表2 資格取得に関して課題となったこと、苦労したこと(取得時期別)

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  • 在職中に資格を取得した人の場合、資格取得活動に対する職場の対応としては、「特別の対応なし」が最も多く、「積極的に応援してくれた」は4人に1人である(図表3)。

図表3 資格取得の活動をしていることへの職場の対応

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  • 勤務先の支援制度として最も多いのは「学費や受験料の補助」、次いで「相談や情報提供」であり、労働時間や配置などの配慮はいずれも1割に満たない。
  • 資格を取ったことによる働き方や処遇の変化は「特に変化なし」が約6割、収入面の変化は「特になし」が7割と、変化がないとする人が多い(図表4、5)。中長期的な職業生活設計の見直しに関しても、「特に見直したいと思ったことはない」が6割超と多い。

図表4 資格取得による働き方や処遇の変化

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図表5 資格取得による収入面の変化

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  • 仕事を辞めて資格取得に専念した人及び求職活動中に資格を取得した人にたずねた就職活動への資格取得の効果は、「資格を活かせる仕事に就くことができた」が半数強である。このうち仕事を辞めて学習に専念した人では資格を活かせる仕事に就くことができた割合が約3人に2人であるが、求職活動中に取得した人では3人に1人程度にとどまる。
  • 資格を取得したことについての総合的判断は4人に3人が肯定的評価(「非常によかった」、「どちらかというとプラスになった」)である(図表6)。肯定的評価をする人が「最もよかった」と思うこととしては、「専門能力や知識が向上したこと」が多い。

図表6 資格を取得したことについての総合的評価

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  • これから資格を取得したい人が感じる課題としては、「学費、教材費などの費用負担」、「仕事との両立」、「勉強や通学のための時間」などがあげられており、「特にない」は1割強と資格所持者に比べて少ない。
  • 85の資格区分について、収集したデータに基づくプロフィールを作成した。

政策的インプリケーション

  • 働きながら資格を取得した人においては「仕事との両立」が最も大きな課題となっている。職場の側では、資格取得の活動に特別の対応をしないというケースが多く、支援制度を設けている企業も必ずしも多くはないが、制度がある場合の利用率は高い。働きながら資格を取得する人の最大の課題である「仕事との両立」が図られるよう、学習しやすい環境への配慮が進むことが望まれる。
  • 職業資格を取得したことにより、働き方や処遇、収入面で変化があったという人、資格の取得と関連して職業生活設計を見直したいと考えた人は、必ずしも多くはない。在職中の資格取得が職場においてもっと評価されるようになれば、個人の主体的な職業能力開発や職業生活設計への反映に向けた意欲も高まるのではないかと考えられる。
  • 新たな就職をめざす場合の職業資格の効果について、半数以上の人が「資格を活かせる仕事に就くことができた」と評価している。ただし、求職活動中に資格を取得した人に限定すると、「資格を取得したことは就職活動に効果がなかった」という人が2割強、結果的に就職しなかった人が約4人に1人いる。求職中に資格を取得した人は、就職活動に役立てたいと考え、取得が比較的容易な資格を選択する傾向がみられるが、自分の適性・志向や地域の労働市場の状況に照らして有効な選択となっているか、適切な助言や情報提供を受けられるよう支援していくことが必要である。
  • これから資格を取得したいと考えている人は、資格取得に関してさまざまな課題を感じており、特に30~40代の中年層においては、費用の負担、時間の確保、仕事との両立など、資格取得のための活動に伴う生活への影響を心配する人が多い。費用補助や両立への配慮といった資格取得活動全般への支援や、それぞれの資格に関する具体的な情報提供が重要である。

政策への貢献

2014年10月から拡充された教育訓練給付の「専門実践教育訓練」受講希望者に対するキャリア・コンサルティングを実施するための資料として活用されている。

本文

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研究の区分

緊急調査

研究期間

平成26年1月~9月

調査の企画・実施担当者

金崎 幸子
労働政策研究・研修機構 人材育成部門 統括研究員(執筆)
小杉 礼子
労働政策研究・研修機構 特任フェロー
藤本 真
労働政策研究・研修機構 人材育成部門 副主任研究員

入手方法等

入手方法

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お問合せ先

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研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ
ご購入について
成果普及課 03(5903)6263

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