調査シリーズ No.119
男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査結果(2)
―分析編―

平成 26年 3月31日

概要

研究の目的

女性の管理職登用を図る上での課題について、平成24年度に実施した「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」の特徴を活かして女性の昇進意欲を巡る問題を含め以下の点を明らかにすることである。

  1. 女性管理職や女性管理職候補者の現状を明らかにすること
  2. 企業におけるポジティブ・アクションの取り組みの推進状況を把握し、推進方策を明らかにすること
  3. ポジティブ・アクションなどによる女性の継続就業や役職者登用への影響(効果)を明らかにすること
  4. 女性管理職比率の低い原因の一つと考えられる女性の昇進意欲の規定要因などを明らかにすること
  5. 育児休業取得が女性管理職登用に与える影響を明らかにすること
  6. 企業内の昇進スピードと女性管理職登用との関係を明らかにすること

研究の方法

平成24年度に実施した「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」の詳細集計等による。

主な事実発見

  1. 女性管理職は、男性に比して「未婚」の割合がかなり高く、さらに「有配偶・子なし」、「離死別」の割合も高い。有配偶で子どものいる女性管理職は約3割に過ぎない(男性7~8割)。管理職の労働時間は男女とも同じくらいであるが、夫婦ともに正社員で、小学生以下の子どものいる女性管理職は、夫婦間の家事育児分担60%以上(女性のほうがより多く分担している)が7~9割程度と高い割合を占める(図表1)。女性管理職は、家事・育児の重い負担も担いながら働いている人がほとんどである。

    図表1 夫婦ともに正社員の管理職(部課長計)・夫婦の家事分担

    図表1 画像

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  2. ポジティブ・アクションに積極的に取り組むかどうかには、経営者の経営状況の認識は概ね影響をせず、女性を活用しようという意思が重要である。また、両立支援策(制度)を積極的に導入している企業ほどポジティブ・アクションにも積極的に取り組んでおり、企業にとって両立支援策(制度)などとセットで実施していくことが受け入れやすい。300人以上規模の企業では、「小売業」や「金融保険業」などでポジティブ・アクションに積極的に取り組んでおり、業種単位でニーズを把握し、普及・啓発を行うことが重要である。
  3. 「女性正社員の活躍のための施策」(女性活躍推進)の各施策については、女性の役職者登用を始め、女性の継続就業、さらには「女性のモチベーションが上がった」など女性の活躍を後押しするような間接的な影響も感じられている(図表2)。育児休業制度を始めとした両立支援制度については、女性の継続就業を始め、「雰囲気がよくなった」や「女性のモチベーションが上がった」など女性の活躍を後押しするような間接的な影響も感じられている。

    図表2  女性正社員の活躍のための施策別企業全体の反応(「そう思う(計)※1」の割合)

    図表2画像

    ※1 「そう思う(計)」とは、「そう思う」+「ややそう思う」のこと。「現在実施していない」は「現在実施していないが過去に実施していた」及び「これまで実施したことがない」のこと。

    ※2 「女性正社員の活躍のための施策」の各施策について、実施「無回答」の集計割愛。

    図表2 拡大表示

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  4. 女性の昇進意欲や仕事のやりがいを高める上で、企業の施策導入の効果は限定的であり、職場における取り組み、とりわけ上司のマネジメントが重要である。企業が女性活躍の施策を実施する際には、その取り組みの意義や内容が職場レベルにおいて理解されているかを確認しながら進めることが不可欠であり、また、上司のマネジメントを支援する取り組みも重要である。
  5. さらに、女性の昇進意欲に関しては、今後大卒女性の採用を増やすことや、係長・主任に積極的に昇進させることが、将来の管理職増加に向けた昇進意欲の相対的な向上につながる。

    3年超えても可能といった手厚すぎる育児休業制度が昇進意欲を低下させる可能性もある。

    また、シングルマザーの昇進意欲が高く、シングルマザーの意欲が実際の能力発揮に繋がるよう、独りで子どもを育てることの費用や負担を軽減するなどのサポートが必要である。

  6. 法定の育児休業期間(12ヶ月)以内の育児休業取得は女性正社員の管理職登用に影響を与えないが、13ヶ月以上の育児休業を取った女性は、休暇を取らなかった有子女性に比べて管理職登用の確率が低下する。
  7. 昇進の「早い企業」ほど女性管理職が多い。また、WLB(ファミリー・フレンドリー)施策は女性管理職を多くし、「遅い昇進」企業で導入も利用も多くなる。
  8. 「早い昇進」企業でWLB(ファミリー・フレンドリー)施策に熱心な企業で最も女性管理職が多くなるが、「遅い昇進」企業でもWLB施策を定着させていけば、女性管理職が増えることが予想される。また、ポジティブ・アクション(女性管理職登用促進措置)を組み合わせると、さらによいことが分かった。

政策的インプリケーション

  1. 女性管理職登用を図っていくためには、 経営者の意識改革を図り、両立支援策とポジティブ・アクション(女性活躍推進)の取り組みを上手く組み合わせて取り組んでいくことが重要である。特に、ポジティブ・アクションの取り組みに関しては、女性の昇進意欲や「仕事のやりがい」という側面などから、従業員が認識する形で進めることが重要である。
  2. また、「仕事と家庭の両立」の問題については、妊娠・出産・育児期などの女性の就業継続の面で注目されてきたが、女性の就業継続だけではなく、就業継続が可能になった女性の活躍や昇進といった側面からも、男性の働き方の改革と合わせて、「仕事と家庭の両立」の問題に対応した取り組みが重要となる。

政策への貢献

  • 女性の管理職の登用を図るための施策の検討資料
  • 厚生労働省「25年版働く女性の実情」への掲載

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「企業の雇用システム・人事戦略と雇用ルールの整備等を通じた雇用の質の向上、ディーセント・ワークの実現についての調査研究」

サブテーマ「女性の活躍促進に関する調査研究」

研究期間

平成25年度

執筆担当者

鈴木 一光
元労働政策研究・研修機構統括研究員
酒井 計史
労働政策研究・研修機構アシスタントフェロー
武石 恵美子
法政大学キャリアデザイン学部教授
伊岐 典子
東京労働局長
周 燕飛
労働政策研究・研修機構副主任研究員
脇坂 明
学習院大学経済学部教授

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お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 03(5991)5104
ご購入について
成果普及課 03(5903)6263

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