調査シリーズ No.81
高校・大学における未就職卒業者支援に関する調査

平成22年11月 1日

概要

研究の目的と方法

今春の未就職卒業者の増加をうけ、緊急に以下の2つの調査(郵送調査)を実施した。

  1. 高卒就職者に関する調査:全国の高校2,000校(20年度就職者が5名以上いる高校のうち定時制は全数、全日制は半数を抽出)を対象として、22年3月卒業者について調査。有効回収率63.6%。
  2. 大卒就職者に関する調査:全国の4年制大学のうち614校を対象として調査。有効回収率80.1%。

なお当資料シリーズは、すでに当機構が行った新聞発表を中心にとりまとめたものである。

主な事実発見

(1)高卒に関する調査
  • 本年3月の高校卒業者で就職も進学もしていない者のうち(本調査では5.7%)、約半数の者(全体の3%弱)の進路希望が高校に把握されていない。
  • 一時的な仕事に就いた者等を含む「未就職卒業者」が30%以上の高校は、定時制、普通科単独校に多く、定時制・普通科での就職が難しくなっていることをうかがわせる。
  • 高校から未就職卒業者に対する、ハローワークの利用や職業訓練等の関する情報提供は進んできているが、就職者が少ない高校の生徒にはまだ十分な情報提供がなされていない。
  • 進路が決まらないまま卒業する生徒の特徴として、「何をしたらいいかわからない」、「進路指導にのってこない」、「成績がよくない」「欠席が多い」、「こだわりが強い」を指摘する教員が多い

図表1 「進路が決まらないまま卒業していく生徒」の特徴について

図表1 「進路が決まらないまま卒業していく生徒」の特徴について/調査シリーズNo.81

(2)大卒に関する調査
  • 本年3月卒の大学卒業者で就職も進学もしていない者のうち(本調査では15.8%)、大学が求職中と把握している者は約4割程度、このほか進路希望不明者等にも求職者が含まれることを勘案すると、求職者は卒業者のおよそ1割前後と推測される。
  • 一時的な仕事に就いた者等を含む「未就職卒業者」は卒業者の2割程度だが、大学間の差が大きい。未就職者比率3割以上の大学は比較的新しい私立大学や小規模大学で多い。
  • 未就職卒業者の多い大学ほど、学生の課題として、「何をしたらいいか分からない」「エントリーシートが書けない」など就職活動のスタート時点からの問題を指摘。
  • 6割の大学が学外の支援機関を活用しているが、未就職卒業者への対策として未就職卒業者に新卒向けの職業体験や訓練の制度を個別に伝えている大学は半数以下。

図表2 学生の就職活動に見られる変化−「とてもそう思う」(未就職者割合別)

図表2 学生の就職活動に見られる変化−「とてもそう思う」(未就職者割合別)/調査シリーズNo.81

*本調査の内容は調査の速報であり、来年度に報告書としてとりまとめる予定である。

本文

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研究期間

平成21年度

執筆担当者

堀 有喜衣
労働政策研究・研修機構 副主任研究員
小杉 礼子
労働政策研究・研修機構 統括研究員
寺地 幹人
労働政策研究・研修機構 臨時研究協力員

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ
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