労働政策研究報告書No.162
東日本大震災と職業訓練の現場
―ポリテクセンター宮城の被災から復旧・復興までの記録 ―
(JILPT東日本大震災記録プロジェクト取りまとめ No.7)

平成26年3月14日

概要

研究の目的

東日本大震災で地震と津波の両方の被害に遭い、職業訓練の全面中止、施設の一時閉鎖が行われたポリテクセンター宮城の、 (1) 大震災当時の職員及び訓練生、(2) 大震災後の復旧・復興の時期の職員及び訓練生、に対するアンケート調査の結果を中心に、大震災時の対応、その後の生活の立て直し、復興訓練等の関わりについてまとめる。

研究の方法

ヒアリング調査(実施期間:平成24年7~8月)及びポリテクセンター宮城が実施したアンケート調査(実施期間:平成24年8月)

主な事実発見

ポリテクセンター宮城では、大震災発生時から復旧までの間に人命に関わる被害の発生を食い止めたが、それは、被災から復興までの時間経過に沿って段階的に生じる課題を、順次、解決することで成し遂げた。早期には個人も組織も直前の状況に戻る(=復旧)ことを目指して行動した。

大震災時にポリテクセンター宮城の職業訓練生は、センターの被災による閉鎖で訓練が中止されたが、その後の就職では就職に納得感を得たのは、安定雇用の就職者と受講職種と同じ職種で就職した者であった(図表1)。安定雇用就職は21%弱だったが、被災者のための訓練科・コースには、就職のしやすさよりも被災者が抱く復旧のイメージに合わせた内容が求められた。他方、大震災時に労働者だった者でその後ポリテクセンター宮城の職業訓練生になった者の約20%は震災の影響で解雇・離職を経験していた(図表2)。

図表1 現在の就職の状況

単位 = 人、( ) = %

図表1画像

図表2 大震災の職業生活への影響

単位 = 人、( ) = %、MA

図表2画像

図表2拡大表示

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政策的インプリケーション

大震災後の被災地及び被災者支援を想定した訓練科・コースの設定では、労働市場の需給状況の見通しを踏まえるとともに、被災者と被災企業の復旧希望を受け止めた内容で組み立てることが望まれる。また、被災地では、災害発生の日から長期にわたって被災状態が継続していることを意識した二次災害防止を速やかに講じる必要がある。

政策への貢献

被災対応と復興取り組みについて被災現場の人々の目でまとめたもの。将来、社会の安全確保の基礎情報となる。

本文

研究の区分

プロジェクト研究「非正規労働者施策等戦略的労働・雇用政策のあり方に関する調査研究」

 サブテーマ「東日本大震災からの復旧・復興と雇用・労働に関するJILPT調査研究プロジェクト(震災記録プロジェクト)」

研究期間

平成24年度~25年度

執筆担当者

奥津 眞里
労働政策研究・研修機構 特任研究員

関連の研究成果

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