労働政策研究報告書No.102
地方圏における雇用創出の研究

平成 20 年 7月 9日

概要

本報告書は、2007 ~ 2012年度のプロジェクト研究「雇用・失業の地域構造の変革要因に関する研究」の一環として行った地域ヒアリング調査の結果を中心にとりまとめたものです。地方圏において雇用創出が確認された地域を対象に、雇用創出の類型に着目しながら雇用創出の実態について調査分析を行いました。

2002年以降鮮明化してきた地域間格差は今後、拡大していくことが予測されます。都道府県別に見ると地方圏は全滅といった印象を受けますが、市町村別では従業者数が増加しているところもかなりあります。増加・現状維持の市町村は全国で 544地域あり、全体の 23.4%を占めています。そうした市町村の割合が高い都道府県は、沖縄県( 56.5%)、愛知県( 52.8%)、滋賀県( 48.4%)、埼玉県( 47.5%)、三重県( 41.7%)の順になっており、沖縄県を除くと名古屋や東京など大都市圏に集まっています。ただし、雇用情勢の厳しい北海道や北東北、四国、九州においても、その割合は10~30%前後となっており、全ての市町村が減少したのは福井県だけでした。

2000年の「地方分権一括法」施行後、従来の国による画一的な地域政策から、各地域の実情やニーズに精通する自治体が企画・立案した計画に各種の支援策を講じることによって地域再生を進めていくという政策に転換してきています。

現在、多数の自治体が抱えている地域雇用創出の課題として、財源の不足、自治体の人材不足、雇用創出のノウハウの不足、求人・求職情報の不足、などがあげられます。

地域の特色を活かした雇用創出政策を企画立案、実施していくためには地域経営のキーパーソンの存在が不可欠といえます。今後、自治体におけるキーパーソンに求められる要件と役割を明らかにし、どのようにして育成していくのかを検討していく必要があるでしょう。こうしたなか、さまざまな課題に対して国の地域雇用創造促進事業(パッケージ事業)を活用している地域が注目されます。

本報告書の第Ⅱ部では、地域雇用創出の事例を取り上げました。(1)熊本県:産官学による戦略的企業誘致、(2)関西文化学術研究都市:クラスター型開発と雇用創出、(3)神戸市:産業クラスター型地域雇用創出、(4)コミュニティービジネスによる雇用創出(徳島県の「株式会社いろどり」を中心に)、(5)札幌市、七尾市:パッケージ事業による地域雇用創出、の調査結果を紹介しています。

本文

研究期間

平成 19年度

執筆担当者

伊藤 実
JILPT 統括研究員
渡邊 博顕
JILPT 主任研究員
大谷 剛
JILPT 研究員
井川 静恵
帝塚山大学経済学部講師
勇上 和史
神戸大学経済学部准教授

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