労働政策研究報告書No.19
労働条件決定の法的メカニズム: 7ヶ国の比較法的考察

掲載日:平成 17 年 3 月 16 日

概要

この研究は、ドイツ、フランス、イタリア、スウェーデン、イギリス、オーストラリア、アメリカの 7カ国の労働条件決定・変更システムの法的メカニズムを比較検討したものです。まず、各国の研究者が、それぞれの国の、(1)労働条件を規律する制定法等法的ツールの概要、(2)最近の労働保護法制、労働契約法の展開とその背景、(3)集団的労働関係の最近の変化、(4)労働市場への労働法の介入の程度と態様、について執筆しました。そして、各国の論稿には、日本人研究者の解題を付し、各国制度の特徴を日本の視点から位置付け、最後に総括として、全体を通覧した検討を加えています。

比較検討の結果、(1)アングロ・サクソン系の国は伝統的に労働保護を目的とする介入に限定的だが、労組組織率の低下により、団交制度を通じた労働者保護が機能しなくなり、最近では制定法が直接、労働者保護規範を設定する傾向が現われてきている、(2)欧州大陸諸国では法が詳細に労働条件を規制してきたが、労働者の多様化、企業をとりまく環境変化に対応して、いかに法定労働条件の柔軟化をはかるかが課題になってきている、(3)アメリカだけでなく、今回とりあげたすべての国で、労働条件規制が中央集権的レベルから企業・事業所などのレベルに分権化・分散化する傾向がある、などの点を指摘しています。

本文

研究期間

平成 15年度~平成 16年度

執筆担当者

荒木 尚志
労働政策研究・研修機構 特別研究員 東京大学大学院教授
橋本 陽子
学習院大学助教授
笠木 映里
東京大学助手
水町 勇一郎
東京大学助教授
大木 正俊
早稲田大学大学院
中野 妙子
名古屋大学助教授
神吉知 郁子
東京大学大学院
奥野 寿
立教大学専任講師
川田 琢之
筑波大学大学院助教授
池添 弘邦
労働政策研究・研修機構 副主任研究員

英文原文執筆者

ロルフ・ヴァンク
ドイツ/ボッフム大学
パスカル・ロキエク
フランス/パリ第 10ナンテール大学助教授
ミケーレ・ティラボスキ
イタリア/モデナ・レッジョ・エミーリア大学教授
マウリツィオ・デルコンテ
イタリア/ボッコーニ大学教授
ミア・レンマー
スウェーデン/ルンド大学大学院
キャサリン・バーナード
イギリス/ケンブリッジ大学・トリニティカレッジ講師
ジューチョン・タン
オーストラリア/ラ・トローブ大学講師
ケネス・G・ダウシュミット
アメリカ/インディアナ大学教授
カルメン・L・ブラン
アメリカ/インディアナ大学大学院

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