ディスカッションペーパー 10-03
契約社員の職域と正社員化の実態

平成22年4月16日

概要

研究の目的と方法

  • 近年、パートタイマーの人数が頭打ちとなるなか、「契約社員」と呼ばれる人々――その多くは直接雇用のフルタイム有期契約労働者である――が増加している。各種調査から、これらの人々は、正社員になることを希望する割合が相対的に高いことが知られている。
  • 本稿では、日本企業において契約社員が活用されている職域を、「職務の基幹性」と「職務の専門性」を軸として類型化するとともに、その類型によって企業内での正社員化の実態がどう異なるのかを、企業ヒアリング調査に基づいて明らかにした。

主な事実発見

  1. 一般的・同水準型の職域で契約社員を活用する場合は、労使双方にとり不都合な事態がもたらされやすく、結果として希望者全員の正社員転換を迫られることになりやすい。
  2. 一般的・低水準型の職域の場合は、正社員の内部労働市場と同じではないが、それと接続しうる職域であることから、希望者に対して選抜を施した上で正社員に登用するケースが多く、それゆえ選抜の合理性が問われることになる。
  3. 専門的・同水準型の職域の場合は、外部労働市場と連続している職域であることから、正社員登用を希望する者が相対的に少ないという特徴がある。
  4. 他方、それらとは別に、試行雇用を目的として、一般的・部分同水準型の職域で契約社員制度を効果的に活用しているケースもある。

政策的含意・提言

契約社員の正社員化という課題をめぐり労使が直面している状況は、契約社員がどのような職域で活用されているかによって異なる。政策的対応を講じる際にも、契約社員の職域の多様性に配慮する必要があると考えられる。

政策への貢献

厚生労働省において有期契約労働のあり方、特に正社員転換などに係る施策のあり方を検討する際に、有益な情報を提供している。

図表 契約社員の職域(左図)と正社員化の実態(右表)

図表 契約社員の職域(左図)と正社員化の実態(右表)/ディスカッションペーパー10-03

本文

研究期間

平成21年度

執筆者

高橋 康二
労働政策研究・研修機構研究員

入手方法等

入手方法

非売品です

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

※本論文は、執筆者個人の責任で発表するものであり、労働政策研究・研修機構としての見解を示すものではありません。


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