ディスカッションペーパー 10-02
仕事特性と個人特性から見たホワイトカラーの労働時間

平成22年4月13日

概要

研究の目的と方法

長時間労働が発生する要因を探索するために、ホワイトカラー労働者に対するインタビュー調査とアンケート調査データの再分析を行った。

主な事実発見

インタビュー調査の結果、仕事の進め方や顧客などとの関係性という「仕事特性」(1.)、要員量や労働時間管理という会社の「要員管理の問題」(2.)、仕事に対する積極性などの「個人特性」(3.)が労働時間に影響することが示唆された。このうち代理指標を用いて定量的に把握可能な1.と3.について分析したところ、「仕事特性」は男性にそれなりに影響すること、及び「個人特性」は男女ともにかなり明確な影響を与えていることがわかった。つまり、仕事志向の強さが総実労働時間の長さに影響しているのである。

また「管理監督者」として扱われることが多い管理職を対象に、出退勤時間の自由な決定と正社員・非正社員の採用及び配置への関与度の影響を検証したところ、出退勤の自由な決定は明確な影響を与えていないこと、正社員・非正社員の採用及び配置に多少関与していることが管理職の総実労働時間を長くする可能性があることがわかった。

政策的含意・提言

本稿における事実発見から導き出される政策的インプリケーションは、長時間労働の問題を、法制度の改正という視点だけで捉えるのではなく、企業の要員管理、労働時間管理の問題として、そして働く個々人の仕事に対する考え方や姿勢などの影響も踏まえて考える必要があるということである。仮に厳格な労働時間規制を一律に実施しても、仕事志向の強い労働者は、積極的にサービス残業をする可能性すらあるだろう。もちろん「働きすぎ」による弊害を除去することが最優先課題であることはいうまでもない。

本文

研究期間

平成21年度

執筆担当者

小倉一哉
労働政策研究・研修機構主任研究員
藤本隆史
労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー

入手方法等

入手方法

非売品です

お問合せ先

内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

※本論文は、執筆者個人の責任で発表するものであり、労働政策研究・研修機構としての見解を示すものではありません。


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