2005年版OECD雇用アウトルック:イタリア
失業の地域差が最も大きい

2004年のイタリアの失業率は、OECD平均を上回る8.1%となった。加えて失業者のうち1年以上仕事をさがしている長期失業者の占める割合が、OECD諸国の中で最も高い約50%を記録した。

OECD雇用アウトルック2005は、この平均を上回るイタリアの失業状況の背後に、南部と北部の労働市場の実績に頑強で永続的な地域間格差があると指摘する。北東部のボルツァーノ/ボーゼン―トレント(Bolzano/Bozen-Trent)地域(失業率が2.6%と最も低い地域)は、ほぼ完全雇用の状態のある一方、南部のカラブリア(Calabria)地域(失業状況が最も深刻)においては、労働力人口の4分の1以上が失業状態にある。

イタリア労働市場の地域的不均衡は真新しい現象ではなく、過去10年間でさらに拡大してきた。雇用状況の地域間格差は、主に地域労働市場の新規雇用を生み出す能力によって生じる。それは、主に地域経済の産業特性によって説明できる。このような地域的不均衡は、不況地域から好況地域への顕著な労働移動を引き起こす。しかし、イタリアの労働市場は、なおOECD諸国の中では最も労働移動が少ない状況にある。その要因には、比較的中央集権化された賃金決定制度によって、優良な産業や地域の賃金が他の地域や産業に影響を与えている事実がある。

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