EU憲法批准否決の波紋:フランス(2)
フランス労使団体の声明

(各団体ウェブサイトより要約)

CGT(フランス労働総同盟)
ヨーロッパおよびフランスにおける新たな社会的対応の緊急の必要性

5月29日の投票は、非常に高い投票率を示し、フランスおよびヨーロッパの将来を拘束する政策決定への参加に対し、市民が強い願望を抱いていることを明らかにした。

フランス国民は、憲法条約をはっきりと拒絶した。あらゆる世代の労働者のほとんどが公務員であろうと民間企業の従業員であろうと関係なく、今回の結果に一役かっている。彼らは、まず、明らかにネオ・リベラル的な欧州建設についての現在の方法に対する拒否を主張したのである。そして、とりわけ、社会的目的が大いに不十分であることに対して批判した。CGTは、ここ数カ月、この現実を明確に強調してきた。

多くの選挙民が明確にしているように、今回の投票は、後退の態度を示しているのではない。労働者の多くは、連帯の枠内で彼らの社会的要求に応える欧州プロジェクトを熱望している。そうしたプロジェクトは、社会的進歩、持続可能な発展、そして世界の平和のために、近代化の過程に新たな方向性をもたらすはずである。

また、今回の投票は、ここ3年、政府が行ってきた政策に対する明らかな制裁でもあった。年金・健康保険・35時間労働制の改革は、国民に受け入れられてはいない。CGTは、このことを繰り返し言い続けた。

CGTは、2006年の財政および経済政策の主要な選択が決定してしまう前に、早急に労使交渉を開始することを要求している。フランス政府は、EUの内部市場における労働時間とサービスに関する指令による計画の撤回を要求すべきである。

5月29日の国民投票後の状況は、CGTに対して、フランスおよびヨーロッパの組合運動全体に対して、大きな責任をつきつけた。

要求の統一性、明快さ、労働者の動員を拠り所にする大きな決定が、ますます必要となっている。これは、CGTが、すべての組合のパートナー(使用者側)に対して提示する観点である。CGTは、使用者側に対して、早急の会談を提案している。

これは、また、CES(欧州組合連合)において、CGTが引き続き推進していく観点でもある。同連合は、「市民とその要求の近くに位置するEU」を要求している。

GFDT(フランス民主労働同盟)
CFDTは、社会的条約の構築を要請する

フランス国民は、5月29日、高い投票率のもとで投票を行い、その過半数が、憲法条約を批准しないという選択を行った。

CFDTの活動家たちは、CES(欧州組合連合)やその他の欧州の組合とともに、憲法条約を支持するため、強く集結してきた。そのため、CFDTは、今回の結果を非常に残念に思っている。

CFDTは、今回の非常に高い率の投票への参加は、フランス人が非常に長い間奪われてきた「欧州に関する議論の必要性」を意味していることを強調したい。この必要性を見逃してはならない。

選挙キャンペーンは、フランス人がその不満をぶちまけ、将来に対する安心の喪失を示す良い機会であった。とりわけ、高い失業率が持続しているという現実において、そうであった。フランスが長年経験している失業、および、不安定や排除の進展、さらには、購買力の低下は、真の飛躍を強く求めている。

労使および公権力は、フランス人が期待する対応をもたらす社会的条約を構築するために、動員されなければならないとCFDTは考える。

使用者は、雇用、賃金、職業過程の安定に関して、責任をもってあらゆる手段を講じなければならない。

共和国大統領は、社会状況の悪化を無視し続けることはできない。そうした社会状況の悪化に対峙して、必要な諸手段を講じなければならないのである。

CFDTは、今回の選挙キャンペーンにおける活動家たちの活動を誇りに思い、CESとのEU建設への参加を続行するつもりである。経済のグローバル化に直面した現在、取り組むべき挑戦、とりわけ、雇用における挑戦が、その解答を見つけうる場所は、欧州である。

CGT-FO(フランス労働総同盟・労働者の力)
国民投票の結果を受けて

市民の責任ある態度を示すこととなった数カ月にわたるキャンペーンの後に、フランス市民は、憲法条約を批准しないことをはっきりと決めた。3年間で3度も、市民は、公権力を制裁し、自らの期待と不満とを明示した。

CGT-FOが、数年来、定期的に示してきたように、欧州建設のための新たな方向性の決定は、不可欠であり、調整による社会的向上をより高次の優先事項としてきた。このことは、とりわけ、税制上のダンピング、そして、ソーシャル・ダンピング対策を講じること、安定と発展のための契約を実際に改革することを前提としている。

公権力と使用者は、直ちに、共和国の価値に対する不安や懸念に対し、具体的に対応する必要がある。

中長期的な観点の欠如、共和国が保障する権利の平等によって導かれるべき公的サービスや集団的な社会的保護の将来に対する不安、持続する失業、不安定の進展、不十分な購買力や消費、社会的不平等の増大、これらは、早急な対応を必要としている。

CGT-FOの連盟執行部は、既に、その分析と要求を報告するために、政府との面会を要求している。

5月28日の要求は、5月30日になっても、手をつけられていないままである。

MEDEF(フランス企業運動)
国民投票でのEU憲法条約の拒否は、重大な結果をもたらす

  • 拒否は、ヨーロッパが、世界の中で欧州の利益を推進させ、その経済的社会的モデルを守るために、より良く組織されることを妨げる
  • 拒否は、世界の中での欧州の競争力を高めるためのリスボン条約に掲げられた目的の実現をより不確かなものとする
  • 拒否は、加盟国の企業間の競争をより活発なものにし、フランス経済を弱らせる
  • 拒否は、ヨーロッパにおけるフランスの力を弱め、世界におけるフランスのイメージを害する

MEDEFおよびフランス企業は、フランスにおける雇用の増大に貢献し続けるために、エネルギーを費やし、イニシアティヴをとってきた。しかし、改革計画を早急に実施しなければ、フランス経済を再建し、フランスの社会的保護システムが悪化するのを避けることはできない。

MEDEFは、フランス企業によって要求された近代化(現代化)を早急に実施することを統治者に対して要求する。

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