DGB組合員数、協約拘束率
―ともに逓減

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2017年11月

ドイツ労働総同盟(DGB)によると、2016年の組合員総数は、前年から約5万人減少し、604万7503人となった。また、就業者ベースの労働協約の拘束率は、旧東独地域で前年から2ポイント低下し、47%となった。

2産別で増加するも、総数では減少

DGB傘下の8つの産業別労働組合のうち「金属産業労組(IG Metall)」と「警察官労組(GdP)」の2組織では組合員数が増加したが、残り6組織では軒並み減少した(表1)。

表1:DGB加盟労働組合情報(2016年)
  組合員数
(2015年)
組合員数
(2016年)
ナショナルセンター
DGB(ドイツ労働総同盟)
6,095,513 6,047,503
産業別労働組合 金属産業労組(IG Metall) 2,273,743 2,274,033
統一サービス産業労組(Ver.di) 2,038,638 2,011,950
鉱業・化学・エネルギー労組(IG BCE) 651,181 644,944
建設・農業・環境産業労組(IG BAU) 273,392 263,818
教育学術労組(GEW) 280,678 278,306
鉄道交通労組(EVG) 197,094 192,807
食品・飲料労組(NGG) 203,857 201,623
警察官労組(GdP) 176,930 180,022
  • 出所:DGB(2017).

金属産業労組の組合員数は、2011年に22年ぶりに増加に転じて以降、当該産業の底堅い需要を背景に毎年逓増している。2016年は前年比で290人増加し、227万4033人だった。また、警察官労組の組合員数は、国家安全保障の観点から採用を大幅に増やしたことが影響し、前年から3092人増の18万22人だった。

ただし、この2組織の増加分を含めても、DGB全体の組合員数は前年比で5万人近く減少しており、この傾向が今後も続けば、国内の労働条件改善闘争が徐々に収縮する恐れもある。

なお、傘下に公務関連の組合が多い第2のナショナルセンターである「ドイツ官吏同盟(DBB)」は、1991年に組合員数100万人を突破して以来、増加し続けており、2016年は130万6019人だった(前年比で約1.2万人増)。他方、第3のナショナルセンターである「ドイツ・キリスト教労組連盟(CGB)」は前年と変わらず約28万人であった。

労働協約の拘束率、旧東で低下

図1は、「産業別労働協約」と「企業別労働協約」を合わせた労働協約が適用される就業者比率(労働協約の拘束率)の推移を示している。過去18年間に経済のグローバル化や中東欧からの外国企業の参入等を経て、労働協約の拘束率は低下し続けている。1998年から2016 年までの間に、旧西独地域で76% から59%、旧東独地域で63% から47% まで低下した。2016年は、旧西独地域では前年水準を維持したが、旧東独地域では前年から2ポイント低下した。

図1:労働協約の拘束率(就業者ベース)の推移(1998年~2016年)
図表1

  • 出所:WSI, Hans-Böckler-Stiftung(2017)

そのためドイツでは、「協約自治強化法(Tarifautonomiestärkungsgesetz)」を2015年1月1日に施行し、一般的拘束力宣言(注1)の基準要件を大幅に緩和したり、法定最低賃金を導入するなどして、労使協約の適用が及ばない低賃金労働者の労働条件改善を図っている。

資料

  • Handelsblatt(February 04, 2017), DGB-Mitgliederzahlen ab 2010, dbb Mitgliederほか。

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