「大衆の巻き込みが勝因」
―反労組グループのリーダーが講演

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  • 国別労働トピック:2014年4月

フォルクスワーゲン社(VW社)のテネシー州チャタヌーガ工場で2月12から14日に実施された労働組合の組織化をめぐる従業員投票は、全米自動車労組(UAW)側の敗北に終わったが、その背景には反労組グループの存在があった。

その一つである「センター・フォー・ワーカー・フリーダム(Center For Worker Freedom)」の代表が3月17日にヘリテッジ・ファウンデーション主催の講演会で、組織化を阻止した原因として、職場ではなく従業員が住んでいる地域に働きかけたことが勝因だと言及した。

「労働者はコミュニティにいる」

センター・フォー・ワーカー・フリーダムの代表マット・パターソン氏は、「労働者は孤立のなかにいるのではなく、コミュニティのなかにいる」と発言し、コミュニティ向けにとった戦略について説明した。

その方法は、簡単な広告用の看板を使って、アメリカ自動車産業が苦境に陥っている状況とリベラルな政治勢力がすべてUAWのせいであることを結びつけるイメージを住民に提示することだった。そうすることで、南部で暮らす大半の人々は、UAWが自動車産業の経営状況を悪化させた元凶であり、南部で多くの人が支持する共和党に対峙する民主党の主要な支持勢力であることを理解させたとする。

一般市民をターゲットに

VW社がUAWによる組織化に合意していたこと、そして組織化に賛成する従業員の数が事前に過半数に達していたことから、センター・フォー・ワーカー・フリーダムは、従業員ではなく一般市民をターゲットにした活動を展開したという。

ウェブサイトを立ち上げ、労働組合の組織化が進んだことで、たとえばデトロイト市の荒廃や破綻、失業率の上昇が進んだというようなメッセージを出し続けたのである。

パターソン氏は、UAWが南部における組織化攻勢を緩めることはないだろうとし、今後も活動を継続することを宣言した。

(山崎 憲)

参考

  • Laurence E. Dube, Anti-Union Group Credits Community Pitch For defeat at Volkswagen Auto Plant, Daily Labor Report Mar 11.

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