雇用労働部、2014年事業計画
―4大政策目標と11大戦略を策定

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2014年3月

雇用労働部は2月11日、(1)若者により多くの雇用機会を創出、(2)女性が存分に能力を発揮できるよう支援、(3)低所得層に対する仕事を通じた福祉の拡充、(4)新しい未来を開く新たな雇用労働システムの構築、の4大政策目標とそれを達成するための11大戦略を盛り込んだ2014年の事業計画を発表した(表1)。

表1:2014年事業計画の4大政策目標および11大戦略
政策目標 戦略
若者により多くの雇用機会を創出 職業教育訓練の革新
能力中心の採用・人事管理の普及
若者に魅力のある中小企業を育成するための条件整備
若者向けの仕事の範囲の拡大
女性が存分に能力を発揮できるよう支援 働く女性のキャリア維持を支援
仕事への復帰を希望する女性に対するオーダーメードの再就職支援サービスの提供
時間選択制・柔軟な労働制の拡大
低所得層に対する仕事を通じた福祉の拡充 雇用・福祉融合サービスの急速な拡大
よりきめ細かい雇用安全網の拡大
基本的労働条件を保証するための施策の強化
新しい未来を開く新たな雇用労働システムの構築 労使政対話を通じた新たな雇用労働システムの構築

若者により多くの雇用機会を創出

雇用労働部は、他省庁と合同で「職業訓練の革新3年計画」を今年上半期中に策定する。自由学期制と連携した早期の職業体験サポートを推進するとともに、若者・母親の中小企業探訪(熟練技術の体験等)を拡大する(5000人)。仕事・学習デュアル・システムの導入企業を2014年に1000社に拡大し、製造業だけでなく、映画・ゲームなどの創造経済分野も対象に7000人を採用する。職業教育の死角となっている一般的な高校生のためのキャリア教育支援を実施する(4500人)。業種別の労働力開発協議会の育成などを通じて産業の需要を考慮してカスタマイズされた職業教育訓練システムを整備する。

採用・人事管理システムの改善については、学位・学歴がなくとも訓練経歴や資格を有する者が採用・報酬・昇進において優遇されるよう、「国家職務能力標準(NCS)」に基づく「国家資格枠組み(NQF)」を徐々に導入する。

若者が就職を希望する魅力ある中小企業を育成するため、雇用環境を大幅に改善する。雇用労働部は今年、11カ所の産業団地を中心に文化福祉空間(100億ウォン)、地域にカスタマイズした仕事(50億ウォン)、労災予防施設(100カ所)、共同保育園(100カ所)、などを集中的に支援する。市場金利より高い確定金利を保証する中小企業退職年金基金制度を導入するとともに、若者インターン制を改編して長期勤続の雰囲気を醸成する。

若者の雇用領域を拡大するため、5大有望サービス産業分野を中心に若者が好む職種において、創業6カ月から5年未満の企業が若者を新規雇用した場合、720万ウォンを支給するなどの雇用創出支援策を講じる。

女性が存分に能力を発揮できるよう支援

男性の育児休業取得を奨励し、女性のキャリア維持を支援する。現行の「育児休業」の名称を「親の育児休業」に変更し、夫婦のうち二番目の育児休業取得者に対して、最初の月の育児休業給付を通常賃金の100%(現行は通常賃金の40%)まで支給する。現行法は、育児休業と労働時間短縮を合わせて最大12カ月までしか制度を利用することができない。これを、育児休業を取得しない場合、最大2年まで労働時間短縮制度を利用できるよう改正し、女性が仕事を中断せずに済むよう支援する。

キャリアブレーク中の女性のためにカスタマイズされた再就職支援を強化する。高学歴女性に高度熟練技能訓練(医療、貿易など)を提供する女性リターンアカデミーを開設する。ポリテック大学を活用して観光・文化など、女性の就職が容易な戦略職種を発掘・拡大する。

多くの女性が全日制勤務を時間選択制に転換できるよう制度を整備する。時間や場所にとらわれずに仕事ができるよう支援する育児連係型スマートワークセンターを普及させることなどを盛り込んだ「多様な就業形態の普及計画」を今年上半期中に策定する。企業が育児休業者の代替人材を容易に採用できるよう、民間の代替人材バンク構築を支援する。国民意識を転換させるための「仕事・家庭の両得」キャンペーンを大々的に展開する。

低所得層に対する仕事を通じた福祉の拡充

雇用労働部は、2017年までに「雇用・福祉総合センター」を70カ所に拡大し、(1)子育てヘルパー、(2)配偶者の安定的な雇用支援、(3)失業給付の支給、(4)再就職訓練――などのサービスを総合的に提供する。

これまで雇用保険に加入できなかった特殊形態業務従事者(宅配便運転手など6つの職種)および芸術家のために雇用保険の新規適用を推進するとともに、零細自営業者、未加入の低賃金労働者、日雇労働者などに対する保護を強化する。

未払い賃金清算のための事業主に対する融資の拡大、地方官署への権利救済チームの設置などの対策を推進する。また、故意・常習的な事業主に対する経済的な制裁(遅延利息の拡大)を強化し、常習的な賃金未払いを防止する。

「新たな雇用労働システム」の構築およびコミュニケーションの強化

雇用労働部は、労使対話を強化し、(1)労働市場制度改革、(2)仕事のやり方・文化の改善、(3)不合理な慣行の改善――などを通じて「新たな雇用労働システム」の構築を推進する計画である(表2)。

中央単位では、労使政が開かれた対話を通じて、「新たな雇用労働システム」への転換を開始し、地域・業種単位では、地域労使民政協議会などを通じた協力を強化するよう支援する。このほか、雇用労働部は、若者や非正規雇用などの未組織・脆弱階層の声を適切に反映できるよう労使政委員会の参加主体と議題を拡大する。

バン・ハナム雇用労働部長官は「朴槿恵政権2年目の今年は、就業率70%、中産階級70%の目標達成に向けて飛躍的に前進できるかどうかを分ける非常に重要な1年となる。4大政策目標において国民が体感できる成果を必ず出せるよう、あらゆる努力を尽くしていく」と述べた。

表2:新たな雇用労働システムの構築
労働市場制度の改革
(効率的労働市場)
仕事のやり方・
文化の改善
(開かれた労働市場)
不合理的な慣行の改善
(公正な労働市場)
賃金体系の改編
  • 賃金構成の単純明確化
  • 職務価値・能力の公平な反映
長時間労働の改善
  • ワークシェアリング、生産性の向上
雇用安全網の拡充
  • 死角解消および保障の拡大
多様な就業形態の普及
  • 在宅勤務、スマートワーク、時間選択制など
  • 人事労務コンサルティング
国民意識の転換キャンペーン
  • 「仕事と家庭の両得」対国民宣言式(2月18日)
  • 100社の企業・団体の参加および先導
人事労務管理システムの整備
3大基礎雇用秩序の確立(未払賃金根絶、最低賃金遵守、書面労働契約)、差別是正強化
「法と原則」準拠
  • 不当労働行為、不法ストライキを厳しく処断
公共機関の正常化
  • 賃金体系の再編、労使共生の推進、紛争最小化 (雇用労働部傘下の12機関が先導)

資料出所

  • 雇用労働部ウェブサイト

参考レート

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