2014年上半期の労働市場の概要

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2014年10月

2014年上半期(1月~6月)の労働市場について、韓国労働研究院(KLI)が各種統計データを基にレポートを公表した。以下にその概要をとりまとめる。

上半期の労働市場の概観と特徴

2014年上半期の就業者数は、前年同期との対比で59万7000人増加し(2013年1月~6月の就業者数は2475万5000人、2014年1月~6月のそれは2535万2000人)、世界金融危機以降、最も大幅に増加した。景気低迷期にあった2013年上半期の就業者は、前年同期比で29万人の増加にとどまった(図表)が、下半期以降は、上昇傾向に転じ、2014年に入ってからもその勢いは続いた(注1)

図表:最近3年間の就業者の増加数の推移
時期 増加者数(概数)
2012年上半期 449,000人
2013年上半期 291,000人
2014年上半期 597,000人

出所:韓国労働研究院のデータを基に作成

2014年上半期の特徴としては、卸小売業、運輸業、金融・保険業といったサービス業を中心とした分野において、就業者数の大きな増加(前年同期比で47万8000人の増加)が見られた(注2)ものの、5月以降、増加幅は急激に鈍化している。セウォル号事故の衝撃による消費心理の影響などもあって、下半期も引き続きサービス業における就業者数の伸びは鈍化していく可能性は高い。

一方製造業では、2014年上半期の就業者数は、前年同期比で13万人の増加であった(注3)。製造業における就業者数は、2009年の底を脱してから、非常に緩やかな増加傾向を維持してきたが、2014年に入ると、内需と輸出の双方の減少の影響を受けている。

また、2014年上半期における就業者の増加数59万7000人の男女別内訳を見ると、男性が30万人、女性が29万7000人であり、男女ほぼ同じ増加規模である。一方、非経済活動人口は前年同期比で2.0%減少し、活発な労働市場への進入があったと言える。

更に、民間部門と公共部門別に見た場合では、民間部門では58万3000人の増加があったが、公共部門では1万4000人の増加にとどまっており、就業者の増加のほとんどは民間部門での増加によるものであった。なお、2014年上半期の失業率は3.8%であった。

下半期の労働市場の見通し

以上の上半期のデータを基に、2014年下半期の労働市場を展望すると、経済成長率3.8%という韓国銀行の推定値を前提とすれば、就業者数の増加は35万2000人に留まり、これまでのように比較的高い増加幅を維持することは難しい。失業率は、2014年通年で3.6%(前年比0.58%増)、就業率は60.1%(同0.6%増)と予想される。

下半期の民間部門のサービス業の回復により、卸小売業、飲食・宿泊業等内需型産業での増加の鈍化が、どの程度緩和されていくか、また、輸出型産業における製造業の生産活動が、どの程度維持されていくか、金融・保険業の雇用不安(注4)がどの程度解消されるのか——等が大きく影響していくであろう。

通年の就業者数
時期 就業者数(概数)
2011年 24,244,000人
2012年 24,681,000人
2013年 25,066,000人

出所:韓国労働研究院のデータを基に作成

産業名 人数(概数) 産業名 人数(概数)
1.製造業 4,345,000人 2.卸小売業 3,731,000人
3.飲食・宿泊業 2,702,000人 4.建設業 1,842,000人
5.教育サービス 1,816,000人 6.保健・社会福祉サービス 1,741,000人
7.農林漁業 1,675,000人 8.協会・団体等 1,310,000人
9.施設管理・事業支援 1,180,000人 10.科学技術サービス 1,016,000人
11.公共行政 969,000人 12.金融・保険業 843,000人
13.出版・映像・放送・通信 735,000人 14.不動産、賃貸業 496,000人

出所:統計庁データを基に作成

参考資料

  • 韓国労働研究院ウェブサイト
  • 統計庁ウェブサイト

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