「ミレニアル世代」の女性、職場に不平等感
―民間シンクタンク報告

カテゴリー:労働条件・就業環境

アメリカの記事一覧

  • 国別労働トピック:2014年1月

1980年代から90年代生まれの人を、21世紀に仕事を始めたことからミレニアル(千年)世代とアメリカでは呼ぶ。このミレニアル世代に属する女性の多くが職場で不平等を感じているとした調査結果をリベラル系シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターが12月11日に報告した。

75%が平等施策の継続希望

ピュー・リサーチ・センターは、2002人に対して実施した調査結果を労働省統計局の所得に関するデータと重ねあわせて分析している。

それによれば、18歳から32歳までのミレニアル世代が調査対象の40%を占め、そのうちの51%が「一般的にみて社会は女性よりも男性を優遇している」と感じており、75%が「職場での男女平等を推進するために変革を続けなければならない」と感じているとした。

一方で、男女の賃金格差を縮小傾向にあるように見える。25~34歳の女性の時給は、2012年の場合に93%だった。1980年時点では、この数字は67%で、30年間でおよそ26%ほど差が縮まったことになる。

1980年と比較すると、25歳から34歳では、女性が男性の67%の賃金にとどまっていたことと比べると、およそ30年で26%ほど差が縮まった。

なお、2012年時点のほかの年齢層の賃金の対男性比率を見ると、16~24歳=90%、35~44歳=80%、45~54歳=77%、55~64歳=77%、65歳以上=82%となっている。

賃金の男女格差、子育て期などでは拡大

しかしながら、時系列や週あたり賃金で比較すれば、男女格差は拡大しているとピュー・リサーチ・センターは分析している。

たとえば、1990年に25歳から34歳の女性が男性の83%の賃金だったが、10年後の2000年に35歳から44歳に持ち上がると男性の75%に落ち込み、2012年に47歳から56歳に持ち上がっても、男性の79%にとどまっているなど、子育て期になると男性に比べて女性の賃金が落ち込んでいることを指摘している。

週あたり40時間以上働いている労働者の割合が、男性26%に対して、女性が14%にとどまっていることから、週あたり賃金で比較しても、男性に比較した女性の賃金は74%に留まっている。

「ミレニアル世代」、晩婚化や出産遅らす傾向

結婚している女性の就業率は1980年の45%から2012年の62%へ伸びているものの、子育てなど、いわゆる賃金の支払われない労働に従事する時間が男性よりも女性のほうが長い傾向がある。週あたりの賃金労働時間を比較すると男性が42時間に対して女性が32時間に留まることがそれをあらわしている。

また、2012年のミレニアル世代の女性はそれ以前の同年代の女性とくらべて晩婚化や出産を遅らす傾向がある。1980年代には同世代の女性の70%が結婚していたが、2012年に結婚していた女性は約半数にとどまった。子どもがいない家庭の割合は1980年代には31%だったが、2012年には46%に上昇した。

大学を卒業した女性の割合も上昇している。1980年に25歳から32歳で、大学卒業資格を持つ配偶者のいる女性が38%だったが、2013年には31%へと低下した。女性の高額歴化も結婚や出産を遅らせる理由にあげている。

ピュー・リサーチ・センターはこうしたことが見かけ上の男女の賃金格差を縮小させている原因だと指摘する。

依然としてジェンダー・バイアス

女性に対する偏見はこの20年間で大きく減少したが、職場ではいぜんとして見受けられる。

調査によれば、ミレニアル世代の女性の75%が、職場で男女平等が達成されるべきだと感じている。「同じ仕事をしていても、男性が女性よりも賃金が高い」と答えた女性は62%にのぼる。ミレニアル世代に限れば、女性の58%が男性のほうが民間企業でも公的部門でも役員に昇進しやすいと回答した。

(山崎 憲)

参考

参考レート

2014年1月 アメリカの記事一覧

関連情報