「外国人出入国管理条例」を9月より施行

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  • 国別労働トピック:2013年9月

「外国人出入国管理条例」(以下、条例)が9月1日より施行された。旧来よりもビザの種類を細分化した。不法入国・不法滞在・不法就労に対して罰則を定めたほか、政府が進める高度人材確保のための優遇策も盛り込んだ。

ビザを8種から12種へ

条例施行に伴い、旧法の「外国人出入国管理法実施細則」は廃止された。条例ではビザの種類を旧来の8種から12種に増やしている(図表1)。主な変更点は四点。一点目が従来のFビザの一部がMビザとなり、ビジネス目的での訪問のみを対象とするビザが新設された点。二点目が親族訪問を対象とするQビザの新設。三点目が中国国内において就労・就学する外国人の親族を対象とした訪問ビザ、Sビザの新設。最後に四点目が高度人材を対象としたRビザの新設である。各ビザの有効期間は最高5年(Q1・S1・X1)から180日以内の短期(Q2・S2・X2)のものと、ビザの種類ごとに異なる。

図表1:ビザ新旧対照表
ビザ
種類
『出入国管理法実施細則』
(2013年8月31日にて廃止)
『外国人出入国管理条例』
(2013年9月1日より施行)
C 飛行機や船舶の乗員向け査証 飛行機や船舶の乗員等向け査証
D 永住者 永住者
F ・非ビジネス目的の訪問者(訪問・視察・学術文化交流など)
・商業目的の訪問者
・短期研修・実習活動をする者(6カ月以下)
・非ビジネス目的の訪問者(訪問、視察、学術文化交流など)
G トランジット トランジット
J 記者(本人およびその家族) J1:中国に常駐する外国人記者
J2:臨時に取材のため訪中した外国人記者
L 観光客、9人以上の団体観光客、親戚訪問者およびその他の私的用務 観光客、団体観光客
M ビジネスを目的とする訪問者
Q Q1:中国人および外国人永住者の親戚訪問者、および扶養などの理由で中国内に居留する者
Q2:中国人および外国人永住者の親戚訪問を目的に短期滞在する者
R 高度人材および中国国内で不足している専門的人材
S S1:仕事・就学のため居留する外国人の家族による親族長期訪問、およびその他の個人的理由による長期居留者
S2:仕事・就学のために居留する外国人の家族による親族短期訪問、およびその他の個人的理由による短期居留者
X 留学生・研修生(6カ月超) X1:中国で長期に就学する者
X2:中国で短期に就学する者
Z 就労者およびその家族 就労者
  • 出所:「外国人出入国管理法実施細則(1986年公布、1994年修正、2010年修正公布)」 、「外国人出入国管理条例(2013年)」

三非問題にも対策

近年、中国国内では「三非」(不法入国、不法滞在、不法就労)と呼ばれる現象が問題視されており、条例は「三非」問題に対しても下記の通り定めた。

  1. 留学居留許可を持つ外国人留学生がアルバイトあるいは校外で実習を行う場合、所属する学校の許可が必要である。また公安当局へアルバイトまたは実習の場所・期限などを申請しなければならない(第22条)
  2. 外国人を雇用する事業所あるいは外国人留学生を募集する組織は、以下の状況のいずれか一つに当てはまる場合、県レベル以上の地方人民政府公安当局に報告しなければならない(第26条)
    1. 雇用した外国人の退職あるいは就労場所の変更
    2. 募集した外国人留学生の卒業・修了・中退・退学・元の所属先からの離脱
    3. 雇用した外国人、募集した外国人留学生の出入国管理規定違反
    4. 雇用した外国人、募集した外国人留学生の死亡・行方不明などの状況
  3. 下記のいずれか一つに該当する場合は不法滞在となる(第25条)
    1. ビザ・居留許可の期限切れ
    2. ビザ免除で入国した外国人が在留期限満了後も出国せずに在留すること
    3. 活動が制限されている滞在地域からの逸脱
    4. その他の不法な滞在

背景に急増する中国国民・外国人の出入国

経済の急速な発展に伴い、中国国民・外国人の往来は急増している。公安部の統計によると、1985年の出入国人数は約4000万人(うち外国人が約330万人)であったが、2012年には約4億3000万人(うち外国人が約5400万人)に達している。また中国を訪れる外国人の訪問目的も多様化しており、それに伴い旅行・ビジネス・親族訪問・就労・就学などの幅広い分野で外国人の不法入国・不法滯在・不法就労の問題が発生し、問題視されるようになっていた。こうした問題に関連する法律も、そうした事態の進展に適応することが出来ずにいたため、今回の改正に至った次第である。

図表2:出入国者数の推移(単位:万人)

図

  • 出所:公安部出入国管理局
  • 注:2004年、2005年の外国人出入国者数はデータなし

Rビザで高度人材を呼び込む

今回の「条例」の注目点の一つは、高度人材を対象としたRビザの新設である。目下、中国政府は高度人材受入計画(通称「千人計画」)を実施しており、高度人材に対しては様々な優遇措置を設けている。例えば本人および配偶者・未成年の子女の出入国・居留・医療・社会保険・住宅・納税などにおける優遇である。出入国に際しては有効期間が2~5年の数次ビザを発行している。その他にも永住資格申請でも優遇している。

「高度人材の導入暫定方法(2008年)」によれば、上述のメリットを享受するためには下記を満たす必要がある。すなわち55歳以下であること、毎年中国国内で183日以上職務に従事すること、海外で博士号を取得していること、そして以下のいずれかに合致することである。

  1. 海外の著名な大学・研究機関で教授またはそれに相当する役職に従事した専門家
  2. 国際的な知名度のある企業や金融機関において管理職を経験した経営管理者および専門の技術者
  3. 独自の知的財産権を保有するかあるいは優れた技術を有しており、海外での起業経験を持ち関連産業分野の国際的な動向を熟知する創業者
  4. 中国国内で至急必要とされる高度で革新的な技術を有する創業者

「千人計画」は2008年に開始されたが、開始から5~10年以内に高度人材を500~1000名程度受け入れることを目標としている。2013年7月時点で既に約3000名を受け入れており、目標を大幅に上回る状況にある。その内訳は、医療・物理・電子・生物・経済など幅広い分野となっている。

補足:ビザ発行法規の推移を表したもの
  法規 内容
1958年 「外国人の自費来華者の応接と国際旅行業務の強化関連法規」 少数の外国人個人旅行者の入国を認める
1964年 「外国人出入国トランジット居留旅行に関する管理条例」 出入国管理を定めた最初の法律
1980年 「旅券・査証条例」 ビザの種類を外交・公務・普通の3種に分ける
1985年 「外国人出入国管理法」 ビザの種類は外交・礼遇・公務・普通の4種に分ける
1986年 「外国人出入国管理法実施細則」 普通ビザを8種に分ける
2013年7月 「出入国管理法」 中国人・外国人への出入国管理に際しての指紋採集導入
2013年9月 「外国人出入国管理条例」 普通ビザを12種に分ける
  • 出所:中国政府網

参考文献

  • 人民網 財経網 中国網 中国政府網 北京晨報 中国新聞網 公安部

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