男女賃金格差が拡大

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2013年6月

複数の調査から、男女の賃金等における格差が拡大傾向にあることが明らかとなった。急激な経済成長の中で、特に男性が多く就労する製造業において賃金が著しく上昇したことが、主な要因と見られる。

過去20年で格差が進行

最近公表された男女の格差についての調査は、いずれも格差が拡大したことを示している。

5月中旬に開催された東アジア男女共同参画担当大臣会合での発表によると、中国で都市に居住する女性の所得は、1990年時点で男性の約78%であったが、1999年には70%まで低下し、2010年では67%となった。農村地域においては、1990年時点で約79%であったが、1999年には60%まで低下し、2010年には56%にまで低下している。

また全国総工会が実施した調査では、女性の社会進出が後退していることが明らかとなった。2011年時点で企業の管理職に占める女性の割合は32%であったが、これは2005年から比べて11%も下落している。

第2次産業の成長が主因

賃金格差が過去20年で拡大した主な要因は、製造業の発展である。改革開放以前は職場における男女の賃金は、それほど大きな格差ではなかった。しかし改革開放政策の中で製造業は飛躍的な成長を遂げ、それと共にそこで就労する労働者の賃金も増加した。一方第3次産業における賃金の増加は比較的緩やかに推移する。男性は第2次産業に多く従事し、女性は第3次産業に多く従事する傾向があるため、結果として賃金格差は拡大した。特に農村出身の出稼ぎ労働者の場合は、男性が工場で就労し、女性がレストランのウェイトレスなどとしてサービス産業に従事する傾向が都市居住者に比べて顕著であるため、格差がより拡大している状況にある。ただし今後については、産業構造の変化に伴い、男女の賃金格差が自然と縮小する可能性もある。

一方、女性の働きやすさという点に目を向けてみると、一部に条件の悪化も見られる。改革開放以前の国営企業では、託児所が完備されるなど子を持つ親にとって就労しやすい環境にあった。しかしここ数年は、グローバル競争の激化を理由に、国有企業(かつての国営企業)で託児所を閉鎖する事例も散見されるなど、女性の就労環境は厳しさを増している。

参考資料

  • チャイナデイリー、Save the Children

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