雇用労働部、2013年事業計画を大統領に報告
―「仕事の質」向上支援など5つの目標

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2013年5月

雇用労働部は3月29日、雇用の維持・創出および雇用の質の向上を目的とする2013年事業計画を朴大統領に報告した。同計画は、(1)すべての人々に労働の幸せをもたらす、(2)仕事の質を高め、人々が労働を通じて希望を見出せるよう支援する、(3)個人に合った雇用サービスと職業能力開発を通じて、人々がより良い仕事に就けるよう支援する、(4)人々があらゆる不安から解放された安心できる安全な職場をつくり出す、(5)労使の相互信頼に基づく、未来創造型のウィンウィンの労使関係をめざす――の5つの主要目標を掲げている。同計画の概要は次のとおり。

就業率70%の達成による労働を通じた幸せの実現

雇用労働部は、雇用重視の政府の取り組みによって就業率70%を達成するため、2013年5月までに「全政府の雇用ロードマップ」を策定する。

若者に関しては、企業のニーズを反映した「職業能力評価モデル」を2017年までに合計20職種群整備する。仕事に必要な能力と技能を適切に反映させるため、2014年までに499の「全国能力基準」を開発し、2013年から2017年の間に438の資格認定試験の基準を改正する。

女性に関しては、労働者が育児休暇を取得できる子供の年齢を、6歳から小学校3年生に引き上げる。配偶者の出産から3カ月以内に父親が取得できる1カ月の「父親月間」を導入する。「男女雇用平等法」に基づく積極的雇用改善勧告の対象となる企業の女性従業員と女性管理職の割合を同一産業平均の60%から70%に引き上げる。男女雇用平等の優秀企業に認証マークを付与し、改善に取り組まない職場のリストを公表する。

熟年者に関しては、「雇用上年齢差別禁止および高齢者雇用促進に関する法律」を改正し、60歳定年制を大企業は2016年から、その他の企業は2017年から義務づける。労働雇用部は、産業分野の人材を活用するため、熟練職人や技能五輪メダリストら300人を技術を伝授する教授に起用し、社会貢献職を1000人に増員するとともに、8000人の熟練労働者の再雇用を支援する。

長時間労働是正の具体的な行動計画を策定する。勤労基準法を改正し、休日労働・時間外労働の削減、柔軟な労働時間制度の利用を促進する。労働時間短縮とジョブシェアリングを組み合わせた包括プログラムを導入する。

障害者に関しては、法定雇用率を公共部門は2013年の2.5%~3.0%から2014年は3.0%に、民間部門は2013年の2.5%から2014年は2.7%にそれぞれ引き上げる。障害者雇用で優れた成果を上げた企業に認証を与え、優遇貸付金利などを適用する。また、障害者の雇用義務を遵守しない企業のリストを公表する。

仕事の質の向上による希望ある職場づくり

雇用労働部は、仕事の質を高めることにより、勤勉な人々全員が中産階級となれる希望のある職場づくりをめざしている。

継続的に常勤で働く公共部門の非正規職員を正規雇用に転換する計画(2013~2015年)を2013年6月までに策定する。非正規労働者の差別是正と雇用安定を目的に、大企業に対して雇用形態ごとの従業員数の開示を義務づける(2013年6月)。

特殊形態労働従事者(宅配便ドライバー等約30職種)の労働条件を保護する対策を講ずる。労災保険の対象職種を拡大するとともに、特殊形態労働従事者に雇用保険を適用する計画を2013年12月までに策定する。特殊形態労働従事者の紛争解決のため、2014年から労働委員会を通じた支援を提供する。

社内下請労働者の雇用安定および元請労働者と下請労働者の格差縮小のため、元請企業により重い説明責任を課す。派遣労働者を不法に利用した職場に対しては、特別監査を実施する。最低賃金より低い賃金を支払う事業主に対しては、直ちに司法措置を講ずる。賃金の支払遅延を防止するため、保険料を滞納する職場の監視システム確立、事業主に対する罰則強化、支払遅延利息の導入などの対策を実施する。

個人に合った雇用サービスの提供による就業促進

若者、女性、中堅、障害者など、利用者の必要性に応じた雇用サービスを提供する。職業相談、職業訓練、職業紹介を網羅する総合的な段階的雇用サービス(就業成功パッケージ)を拡充する。若者が大企業よりも健全な中小企業の職に就けるよう、優良な中小企業のデータベース拡充、就職説明会の開催、職場環境改善や社会保険料に対する助成などの支援を提供する。

人々が、就学、就業、失業や労働市場再参入などの各段階に応じた訓練を受けられるよう、ライフ・ステージに合った職業能力開発プログラムを提供する。

あらゆる不安から解放された快適で安心な職場づくり

景気変動に起因する経営上の理由による解雇を防止するため、勤労基準法を改正し、配置転換、無給休暇の実施、労働時間の短縮などにより使用者が解雇回避に努力したと判断される事例を法律に明記する。雇用情勢の悪化により大規模なレイオフが実施された地域を雇用災害地区に指定し、経営上の理由による解雇防止、失業者の再就職支援、地域経済再生などの特別対策を実施する。

仕事が多いときに労働者が超過勤務時間を貯蓄し、経済が低迷したときにその分を有給休暇として取得できる労働時間貯蓄制度を導入する。

未来創造型のウィンウィンな労使関係の構築

労使が責任をもって参加し、目先の小さな利益ではなく長期的な大きな利益を求めて協力する未来創造型の労使関係構築をめざし、中央レベル(経済社会発展労使政委員会)、地方レベル(労使政・市民グループで構成される四者評議会)、企業レベル(労使協議会)での対話を強化する。政府は公平な調停者、仲裁人の役割を果たし、バランスのとれた三者協力を確立するとともに、労使の信頼関係回復による双方の利益となるウィンウィンの労使関係の確立を支援する。

参考

  • 雇用労働部Web情報

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