雇用労働部が「時間選択制雇用の導入および運用ガイド」を発表

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  • 国別労働トピック:2013年12月

雇用労働部は11月28日、時間選択制雇用の導入促進を目的とした「時間選択制雇用の導入および運用ガイド」を発表した。これは、時間選択制雇用の概念と必要性、種類や制度導入の手順および人事・労務管理の方法などを収録した企業向けのガイドブックである。

基本的労働条件が保障された不合理な差別のない雇用

朴槿恵政権は、2012年に64.2%であった就業率(15~64歳)を2017年までに70%に引き上げることを重要な政策目標に掲げており、時間選択制雇用の創出・拡大をその達成のための切り札としている。政府は、企業が時間選択制雇用を導入・運営することを支援するため、専門的なコンサルティング会社の参加の下、教授、弁護士、労務士、企業関係者等との数回にわたる議論を経て、実務的な内容を中心とするガイドブックを取りまとめた。

ガイドブックは、時間選択制雇用について、労働者が仕事と家庭の両立、段階的な退職、仕事と学習の両立などを実現するために事業主と協議して、労働時間、仕事の開始・終了時間、勤務日などを選択できる雇用と規定している。これは、労働者の自発的な必要性に合致し、最低賃金以上の賃金や4大社会保険への加入などの基本的な労働条件が保障された、不合理な差別のない雇用を意味する。

「新規型」「転換型」の2種類

ガイドブックは、時間選択制雇用の種類について、企業の需要に応じて採用時から時間選択制雇用として採用する「新規型」と労働者の必要性に応じてフルタイムの在職労働者が時間選択制雇用形態に転換する「転換型」の2つに分類している。この2種類ごとに時間選択制雇用の導入手続きを紹介し、各段階での主な内容と留意事項を盛り込むことにより、企業側の制度導入に関する理解の促進をめざしている(表1)。

時間選択制雇用を導入する際に必要な人事・労務管理の原則と関連法令の規定について、募集・採用、在職、労働関係の終了の各段階に分けて説明している。現在、時間選択制雇用に対しては、「勤労基準法」における短時間労働者に関連する規定と「期間制および短時間勤労者保護等に関する法律」などが適用されている。

採用企業に対する政府の支援制度

ガイドブックは、時間選択制労働者を新規採用する場合と在職中のフルタイム労働者が時間選択制雇用に転換する場合について、政府の支援制度を紹介している。政府は時間選択制雇用の導入を希望する企業に対し、適切な職種・職務の発掘および職務再設計等のためのコンサルティング・サービスを提供する。時間選択制労働者を新規採用する企業に人件費や社会保険料を助成し、法人税・所得税も減免する。特に、雇用の安定した時間選択制労働者の新規採用を奨励するため、企業が無期契約の時間選択制労働者を採用する場合には人件費を助成し、時間選択制の常用労働者を採用する場合には社会保険料を助成する。法人税・所得税の減免も拡大していく予定である。

フルタイムの在職労働者が時間選択制雇用に転換した場合、企業に出産・育児のための雇用助成金と代替人材助成金を支援し、労働者には育児期の労働時間短縮に対する賃金を助成する。さらに、労働者の必要性に応じた労働時間短縮を促進するため、これらの支援の水準を向上させる方策を検討する。

優良事例の収集により継続的に改善

ガイドブックはこのほか、企業が業種や規模に応じて適切な時間選択制雇用を導入できるよう、可能な職務や職種の発掘の参考となる国内および国外の企業事例、主な採用職種事例などを収録している。また、今後も、企業に関する調査や意見収集、時間選択制雇用の創出事例分析などを通じて優良事例を蓄積し、継続的にガイドブックを補完していく計画である。

イジェフン雇用労働部雇用政策室長は、「今回のガイドブックが、企業現場での時間選択制雇用導入に伴う不快感を緩和し、良質な時間選択制雇用を創出するきっかけになると期待している。今後も、労使と政府が力を合わせて時間選択制雇用の創出・普及に一層努力していく」と述べた。

  • 出所:雇用労働部

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