政府が時間選択制雇用活性化推進計画を発表

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  • 国別労働トピック:2013年12月

政府は11月13日、「時間選択制雇用活性化推進計画」を発表した。同計画は、本人が働く時間帯を選んで勤務できる「時間選択制雇用」の創出を公共部門が先導するとともに、民間部門における時間選択制雇用の拡大を支援するための財政支援を拡充し、求人・求職インフラの構築、制度改善などを積極的に推進することを目的としている。今後4年間に公務員約4000人、中央公共機関職員9000人、国公立学校教員3500人など、公共部門で1万6500人の時間制雇用を創出する計画である。

公共部門が時間選択制雇用の創出を先導

今回の計画は、政府が6月4日に「就業率70%達成のための雇用ロードマップ」を発表して以降、関係省庁が実務タスクフォースにおいて検討を重ね、対策を取りまとめたものである。 政府は、良質な「時間制雇用」の創出を就業率70%達成の切り札としているが、「非正規雇用ばかりが増える」と批判された。このため、本人が生活の必要性に合わせて働く時間帯を自ら選択する「時間選択制雇用」という用語を使用することとした。

2014年から時間選択制公務員・教員の採用が可能となるよう法令を整備し、具体的な実行計画を2013年内に取りまとめる。まず、公務員任用令を改定し、2014年から時間選択制公務員の新規採用を段階的に拡大していく計画である。時間選択制公務員の新規採用目標比率を設定し、2017年までに約4000人を採用する。国家公務員の目標比率は2014年3%、2015年4%、2016年5%、2017年6%、地方公務員の目標比率は2014年3%、2015年 5%、2016年7%、2017年9%としている。特に新規定員の20%は時間選択制公務員を採用する。公正な人事処遇を保証するため時間選択制公務員の兼業許容範囲を拡大するとともに、公務員年金が受給できるよう積極的に検討を行う予定である。また、公共機関においては、キャリアブレーク中の女性を中心に時間選択制労働者の採用を拡大するための制度を構築する。中央公共機関は、 2014年~2017年の間に時間選択制労働者を9000人採用する。公共機関の経営評価における時間選択制の評価基準を強化し、時間選択制労働者が差別されないよう各機関の人事服務等に関する規定を改正する。

民間部門の時間選択制雇用の拡大を支援

民間部門における時間選択制雇用の創出を支援するため、採用イベントの開催、企業支援の拡大、インフラ構築、制度の改善などを積極的に推進する。まず初めに、サムスン、ロッテ、新世界など10の企業グループが参加する「時間選択制雇用の採用イベント」を開催する。サムスングループは2014年初めに6000人の時間制雇用を採用する予定であり、その他の企業グループもロッテ2000人、新世界2068人、SK500人、CJ500人、ハンファ150人などの時間制雇用採用計画を発表した。時間選択制雇用は、労働者が自由に時間帯を選択して1日4~6時間働き、国民年金、健康保険、雇用保険、労災保険の4大保険及び福利厚生において正社員と同じ待遇を受けるものである。そのため、人件費、社会保険料、税額控除などを1年間支援する。2013年に101億ウォンであった予算を2014年は227億ウォンに増額し、中小企業を対象に国民年金、雇用保険の事業主負分の100%を2年間支援する。人権費の助成は、良質な時間選択制雇用を創出した場合、賃金の2分の1(限度額を60万ウォンから80万ウォンに増額)を助成する。税額控除は、雇用創出投資税額控除の算定時に常用型時間選択制の仕事を0.5人から0.75人に増やすなど、時間選択制雇用を創出した企業に対する支援を拡大し、企業負担を軽減する。また、自治体と地方の労働関係機関の協力を持続的に拡大するため、全国47の地方官署に「地域単位時間選択制タスクフォース」を設置し、企業現場を直接回りながら時間選択制の新規採用及び転換を支援する。さらに、時間選択制インフラ拡充のためのマニュアルの普及、専用ネットワークの構築、代替人材バンク、社会保険制度の改善に取り組む予定である。

雇用労働部と地方政府が覚書を締結

雇用労働部と韓国最大の地方自治体である京畿道の政府は10月21日、時間選択制雇用の創出及び時間選択制労働者の採用を支援するための覚書を締結した。覚書によると、京畿道政府は、地域内の公共部門および民間企業において良質な時間選択制雇用を創出するよう積極的に努力し、第1段階として、5000人の時間選択制雇用(公共部門2000人、民間企業3000人)を創出する計画である。雇用労働部は、京畿道政府が円滑に計画を実行できるよう、優良事例の紹介、運用マニュアルの提供、仕事再編のためのカウンセリング・サービスの提供、人件費・社会保険料の助成などの支援を行う予定である。

時間選択性雇用に対する社会的認識の改善

政府は、時間選択制雇用に関する肯定的な認識を普及させるため様々な広報活動を推進する。企業の活用事例、体験手記など、国内・外の優秀事例を発掘し、TV番組、生活密着型広告(バス、地下鉄)など様々なメディアを通じたキャンペーンを実施する。政労使の協力に基づき、「仕事と家庭の両立のための雇用委員会」を設置し、時間選択制雇用の創出及び就業率向上のための対策を議論する予定である。

政府は、時間選択制雇用の活性化を通じて、フルタイム中心の長時間労働慣行を改善し、仕事と生活の調和をめざす企業が人材を適材適所で柔軟に活用できるよう積極的に支援していく計画である。

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