失業保険制度の改正をめぐる労使交渉、妥結へ 

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2011年4月

労働組合と経営者団体の間で行われていた失業保険制度の改正に関する交渉が、3月25日、妥結に達した。合意によると、改正点は季節労働者の失業手当額算定方法の変更などごく一部にとどまり、制度の大枠に関しては現行制度を維持することとなった。

フランスの失業保険制度は、労使同数の代表の合意により定められた協約に基づいて運営されている。従って、政府が失業保険制度の運営主体となっているわけではないが、政府が協約を承認し、失業保険制度に強制力を持たせ、それを民間部門の全ての雇用主と被用者に適用させている。

今回の主な改正点は、傷病年金(Pension d'invalidité)との併給を認めることや、季節労働者の失業手当額算定方法の変更、失業保険制度の財政状態が改善された際の保険料率の引き下げ自動化など。この結果、失業者の失業手当の支給条件や支給額、支給期間など、失業保険制度の大枠に関しては、現行制度を維持することとなった。今回の合意は、労働側CFDT(フランス民主労働総連合)、CGT(フランス労働総同盟)、CGT-FO(労働総同盟「労働者の力」)、CFTC(フランスキリスト教労働者同盟)、CFE-CGC(フランス幹部職員総同盟)の5労組、経営側MEDEF(フランス企業運動)、CGPME(中小企業組合)、UPA(手工業者連盟)の3団体の間で行われた。この合意に対しては、多くの労働組合が承認する意向を示しており、今年7月1日から適応される見込みである。

合意内容は以下の通り。

失業補償に関する2011年3月25日の全国協定

失業補償に関する2008年12月23日の全国協定が及ぼすプラス効果、景気、景気が及ぼす影響、とりわけ雇用および失業者数に及ぼす影響並びに失業保険の財政均衡回復の必要性を考慮し、当事者は次のように取り決める。

  1. 2008年12月23日の協定の規定および現行の失業保険制度施行法令は、次のものを除き、引き続き適用される。
    (1)第2条b)第1段落第1文
    (2)および第7条
    上記規定は削除される。

  2. 第2種と第3種の障害年金は、社会保障法典で定める就業復帰援助手当と給与との並行受給条件と同じ条件で、同手当と並行受給される。

  3. 季節労働者の失業手当の算定に用いられる給与に適用される減額係数を廃止する。

  4. 直近の2四半期中に、各四半期の収支が5億ユーロ以上の黒字になり(注1)、失業保険制度の債務が直近の12カ月の平均で計算した保険料の1.5カ月分以下である場合、使用者と被用者の失業保険の保険料率を毎年1月1日または7月1日に引き下げる。

    (1)保険料率の引下げの計算では、各四半期の収支の5億ユーロを超える部分の金額を同期間に支払われた保険料の金額で除し、パーセンテージに換算する。このパーセンテージを、使用者負担分と被用者負担分に案分して適用し、翌四半期の保険料を引き下げる。
    (2)本条項の規定を適用した保険料率の引下げでは、年に0.4ポイントを超えて保険料率を引下げることはできない。

  5. 本協定は、2011年6月31日から2013年12月31日までの時限協定であり、第4条を除いて2013年12月31日に自動的に失効する。第4条は2016年12月31日まで引き続き効力を有する。

2011年3月25日、於パリ

参考

  • 海外委託調査員、Les Echos紙

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