雇用情勢、さらに悪化
―失業者数、2カ月連続の増加

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2011年12月

労働・雇用・厚生省 (Ministère du Travail, de l'Emploi et de la Santé)の発表によると、10月末のカテゴリーAの求職者(求職者のうち1カ月間一切就業活動を行わなかった者)は281万4900人、前月比で1.2%(3万4000人)増加したことが明らかとなった。失業者の前月比増加はこれで2カ月連続。

増加幅も前月の0.9%(2万6000人)からさらに拡大した。前年同月比では4.9%の増加であり、雇用情勢が厳しさを増していることを示している。失業者を男女別に見ると、男性が1.2%、女性が1.3%の増加であり、年代別では50歳以上が15.5%と中高年の失業者数の増加が目立っている。

また、INSEE(国立統計経済研究所)は、今年9月の家計消費額が前月比で0.5%減少(前年同月比では1.3%の減少)したと発表した。前月比マイナスは2カ月ぶりで、衣料品とエネルギー関連の支出減少がその大きな原因である。さらに、ギリシャ危機の影響などから、来年の経済成長率予想が下方修正され、1.0%程度に留まるとする発表(10月27日、サルコジ大統領)がなされるなど、雇用・経済情勢の先行きに暗雲が立ち込めている。ベルトラン労働・雇用・厚生相も「経済状況が好転しない限り、雇用がどれだけ改善するかは予測がつかない」と今後の見通しが楽観的でないことを示唆した。

失業率の上昇は、就業構造の変化も一因となっている。政府が今年9月に発表した報告書によると、この25年間で、就業者数は310万人増加し、2570万人に達したが、このうち第3次産業の増加(熟練・非熟練問わず)が著しい反面、農業従事者は大きく減少、製造業の就業者も同じく減少した。なお、建設・土木業の就業者数は横這いであった。その結果、第3次産業の就業者に占める比率は、1980年代初頭の65%から、76%まで上昇している。雇用労働者の就業者に占める比率は同期間に83%から89%に上昇した。

他方、パートタイム労働者の比率も、同期間に、10%から17%へ高まった(男性は3%から6%、女性は20%から30%へ)。また、就業者の占める50歳以上の比率は20%から25%へ高まっており、労働力の高齢化が進んでいる。これらの労働者は景気に左右されやすく、景気変動の影響を受けやすい。雇用情勢が好転する兆しは当分の間見えそうにない。

参考

  • 海外委託調査員、労働・雇用・厚生省 HP、INSEE(国立統計経済研究所)

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