失業者が再び増加
―雇用局、来年の経済・雇用見通しを発表

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2011年10月

フランス雇用局(Pôle Emploi)は10月4日、経済および雇用の見通しを発表した。それによると、フランスのGDP実質成長率は、今年第1四半期に0.9%増と、2006年以来の大きな伸びを見せたが、続く第2四半期は、内需の落ち込みから、ゼロ成長となった。国内外の厳しい状況から、今年末から来年にかけての失業者数はさらに増加するものと見られる。

欧州を覆う厚い雲

欧州全体を覆う雲は厚い。ギリシャ問題だけではない。ポルトガル、アイルランド、スペイン債務に加え、イタリア債務も心配の種となっている。ユーロ圏のGDPは2011年第1四半期こそあまり打撃を受けなかったものの(プラス0.8%)、第2四半期にはほぼ停滞状態となった(プラス0.2%)。牽引役のドイツは苦闘したものの(プラス1.3%の後プラス0.1%)、他の欧州諸国はほぼ横並び(英国はプラス0.1%、イタリアはプラス0.3%、スペインはプラス0.2%)となっている。

第1四半期には2006年以来最高の伸び(プラス0.9%)を経験したフランス経済も、内需縮小により成長は大きく失速し、第2四半期の成長に寄与したのは貿易だけで、2011年第2四半期はゼロ成長であった。失業者数が増加傾向にあることから、今年の経済成長率は1.7%に留まる見通しとなっている。

一方、長期国債の格下げが困難に直面していることを証明した米国経済も、少なくとも今後数カ月間は世界経済の成長を後押しすることはないと見られる。経済危機によって膨らんだ国債は日本でも欧州でも大きな懸念材料となっている。

厳しい雇用情勢見通し

フランス雇用局(Pôle Emploi)によると、今年第2四半期まで、6四半期連続で雇用創出が続いていたが、その勢いに陰りが見えてきた。その結果、今年1年間の雇用創出数は13万人にとどまると見込まれる。一方で労働力人口の増加も進んでいるため、失業者数は今年末にかけて増加を続けるものと見られる。

カテゴリーA(注1)の求職者数は第2四半期に再び増加し始めた(プラス4万人)。カテゴリーA・B・C(注2)の求職者数もほぼこれと同様の推移を示している(第2四半期にプラス5万8,000人)。雇用創出の減速と労働力人口の力強い増加が相まって、失業を減少させることは当分できそうにない。その結果、2011年末には、カテゴリーAの求職者数は5,000人増加し、カテゴリーA・B・Cは7万8,000人の増加になると予想されている。

もし2012年の経済成長が2011年の水準に保たれれば、失業は次第に減少し始めるとの予想もあるが、2012年の成長がより鈍化した場合、失業者数はこのまま増加し続ける可能性もある。

政府は来年の成長率をプラス1.7%(今年と同水準)と予想しているが、仮に成長率がこれを下回り、1.4 %(IMF予測)程度にとどまるとすると、失業保険に加入している雇用の創出は年間で10万1,000件に減ると予想されている。

参考

  • フランス雇用局(Pôle Emploi)HP、海外委託調査員

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