雇用に焦点をあてた回復に向けて
―ILO/IMFハイレベル会合

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2010年9月

国際労働機関(ILO)と国際通貨基金(IMF)は9月13日、ノルウェーのオスロで開催されたハイレベル会合「成長・雇用・社会の結束の諸課題」の討議結果を発表した。
 この会合では、ILOとIMFのほか、ホスト役を務めたノルウェーのストルテンベルグ首相をはじめとする各国の指導者、労使団体の代表、学識者など関係者が一堂に会して、世界経済危機以降、急増している失業と不完全就業の問題解決に向けた方策を話し合った。

ILOの推計によると、2007年以降3000万人以上が失業に追い込まれ、世界の失業者数は史上最悪の2億1000万人強に上っている。会合前に発表された共同討議書は、経済危機によって引き起こされた深刻な失業状況が「社会の結束を弱める」という負の影響を指摘。また、国による財政状況の違いを考慮する必要があるものの一般的戦略として「先進国では2011年まで緊縮財政策を取るべきでない」と提言している。

今回の会合では「国内外のマクロ経済政策に、雇用と社会政策をよりよい形で統合する」という、IMFが主に担う経済政策と、ILOが主に担う労働・社会政策の融合と協力を主眼に据えた話し合いが行われた。その結果、ILOとIMFの両組織は、次の2点について具体的に協力し合うことで合意した。1つめは「持続可能な経済発展の中で、貧困状態にある人々の最低限の社会的保護の仕組みを模索する」こと。2つめは「雇用創出を促す政策に焦点を当てて協力を行う」ことである。

両組織はこのほかの分野でも継続的な協力を深めていくことで合意し、その一環として2011年6月に開催を予定しているILO総会で、フアン・ソマビア(Juan Somavia)ILO事務局長の招待を受けたIMFのドミニク・ストロスカーン(Dominique Strauss-Kahn )専務理事が演説することが決定した。

関連参考記事

  • ILOリンク先を新しいウィンドウでひらくプレスリリース「Oslo Conference Calls for Commitment to Recovery Focused on Jobs」(9月13日)、「IMF and ILO Launch Background Paper on the “Challenges of Growth, Employment and Social Cohesion” for High-Level Conference on September 13 in Oslo」(9月2日)
  • ILO駐日事務所新しいウィンドウプレスリリース「仕事に焦点を当てた回復に向けた誓いを呼びかけるオスロ会合」(9月13日)、「ILO/IMF「成長、雇用、社会の結束の諸課題」ハイレベル会合(オスロ・9月13日)向け背景資料発表」(9月2日)

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