世界の若者の失業、史上最悪
―ILO報告
国際労働機関(ILO)は8月12日、金融危機の影響で15~24歳の若者の失業者数は過去最悪の8070万人(2009年末時点)に上るとの調査結果を発表した。ILOでは、2010年もこの悪化傾向は続くと予想しており、世界各国の政府に若年層の雇用対策の必要性を呼びかけている。
図1.世界の若者の失業者数、失業率の推移(1991-2011年)
資料出所:ILO「Global Employment Trends for Youth」(2010年8月)
ILOの報告書「世界の雇用情勢-若者編2010年版(Global Employment Trends for Youth 2010)」は、8月12日から始まる国連の国際青少年イヤーに合わせて発表された。それによると、2009年の若者の失業者数(8070万人)、および失業増加率(前年比+0.9ポイント)は、ともにILOが統計を取り始めた1991年以降、過去最悪を記録した(図1)。全世代の平均失業率が2008年末の5.8%から2009年末には6.4%と+0.6ポイントの増加にとどまっている中で若者の増加率は顕著に高い。専門知識や経験に乏しい若者が、金融危機の影響を直接受けたとみられる。
報告書を執筆したILO経済専門家のサラ・エルダー(Sara Elder)氏は「将来の経済成長を支えるべき若者が、不景気のため労働市場に参入できずにあきらめてしまい、新たな“失われた世代(ロストジェネレーション)”が生まれている。各国ともこのようなロスジェネ層を将来的に抱える余力はない」と述べ、各国政府に若年層の雇用対策の継続とさらなる強化を求めている。
参考資料
- ILOホームページ、ILO報告書 「Global Employment Trends for Youth 2010」(2010年8月12日)、 ILO駐日事務所ホームページ
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