6月の失業率
―改善の一方で労働力率は低下

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2010年7月

アメリカ労働統計局は7月2日、6月の雇用統計を発表した。失業率は前月から0.2ポイント改善して、9.5%となった。民間部門の就業者数は前月比で8万3000人増となる一方で、非農業部門全体の就業者数は12万5000人減となった。

就業者数の減少と失業率の低下

労働統計局はその原因に国勢調査の実施で臨時に雇用していた22万5000人の雇用期間が終了したことを反映しているとする。また、就業者数が減少したにもかかわらず失業率が低下した原因として、労働力率が前月から0.3ポイント低下して64.7%となったことをあげている。労働力率が低下した理由として、求職活動をやめた労働者の数が増えたことがある。アメリカでは4週間の調査対象期間中に求職活動を行った者を失業者としており、この数が減少したことで失業率が低下したとみている。

長引く長期失業

アメリカでは連続して27週間以上失業状態にあると、長期失業として分類しているが、その人数は前月と変わらず608万人だった。この数は全失業者のうちの45.5%とおよそ半数を占めている。27週を超える長期失業者に対しては、失業給付が打ち切られることになっている。しかし、09年2月の経済回復.再投資法によって失業保険給付の延長と失業者への教育訓練給付が約束された。失業保険給付と教育訓練は州政府が主体となって行うため、連邦政府は州政府に対する予算措置枠を拡大した。

失業対策予算期限の延長

13.6%と全米で最も失業率が高いミシガン州は、41万5000人の失業者がおり、一人当たり週300ドルの失業手当を支給している。このうち、8万7000人が長期失業の状態にあり、失業手当給付、職業訓練と合わせて週あたり7000万ドルの予算がつぎこまれている。
このような状況に対応するため、連邦政府では経済回復.再投資法を年末まで延長する法案が議会審議中だが、7月4日の独立記念日の休暇で審議が止まっている(7月5日現在)。審議の再開は7月中旬以降で、下院、上院の採決はさらにあとになると思われる。民主党議員の多くは、失業対策予算が枯渇すれば、景気回復の大きなブレーキになるとして延長を支持している。一方、共和党議員からは延長に必要な予算に339億ドルかかることを問題視する声があがっている。

資料出所

  • アメリカ労働統計局ウェブサイトThe Employment Situation-June 2010(http://www.bls.gov/news.release/empsit.nr0.htmリンク先を新しいウィンドウでひらく) 2010年7月閲覧
  • Jobless benefits, training could be lost in Mich., The Associated Press, June 30, 2010

参考レート

  • 1米ドル(USD)=88.06円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2010年7月8日現在)

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