広東省、春節後に90万人の労働力不足

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2010年4月

広東省の人的資源社会保障部は2月24日、広東省全体で春節後に約90万人の労働者が不足しているとした調査結果を発表した。

中国では出稼ぎ労働者が春節(旧正月)に帰郷するという慣習があるが、出稼ぎ労働者が帰郷したまま職場に戻らないため労働力不足が発生するという現象が最近の傾向となっている。広東省には現在約2600万人の出稼ぎ農民がいるが、このうち1730万人が他省から来た出稼ぎ農民であるという。調査結果によると、今年の春節後の動きは例年よりやや早く、春節後2月22日までの時点で他省出身出稼ぎ農民のうち316万人が広東省の職場に復帰した。これは春節前に帰郷した692万人の45.7%に当たる。職場復帰の割合は昨年同期と比較して3.9%上昇した。

この影響により広東省で約90万人の労働力不足が生じていることが明らかにされた。地域別に見ると広州で約15万人、深センで約20万人、東莞で約20万人の不足となっている。一般労働者の不足が大半を占めるが、技術労働者の不足も目立っており、全体の約32%を占める。労働者が不足しているのは主に、アパレル、製靴、玩具、紡織、建築、卸売り・小売、ホテル・レストラン等の労働力集約型産業。人的資源社会保障部は労働力不足が生じている要因として、(1)企業の発注が激増していること、(2)地域間の競争が激化しており出稼ぎ農民が分散化していること、(3)内陸地域との経済格差が縮小し出稼ぎ農民のUターン現象が見られること、(4)需給の構造的なずれがあること、(5)新しい出稼ぎ農民世代の就業ニーズが多様化していること――などを挙げている。またこれらの問題に対処するため講じる措置として、(1)雇用環境を改善し最低賃金を適当な水準に引き上げる、(2)出稼ぎ農民のポイント蓄積による都市部転入政策を進めるとともに高いスキルを持った労働力に対する魅力を高める、(2)広東省の農村労働者に対して研修を行い農村以外での就業を推進する、(3)省内における技能労働力の有効な供給を増やす――などを挙げている。

人的資源社会保障部の葛副部長は、「現在の広東省の人手不足はそれほど深刻なものではなく制御可能な範囲」とした上で、「今後は企業による自主的な転換および労働者のレベルアップを促進させ総合的な競争力を引き上げることが必要」とコメントしている。

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  • 海外委託調査員

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