年金支給開始年齢を67歳に段階的引上げ
―2010年から

カテゴリー:高齢者雇用

ドイツの記事一覧

  • 国別労働トピック:2010年12月

政府は11月17日、予定通り2012年から公的年金の支給開始年齢を現行の65歳から67歳へ段階的に引上げると発表した。この引上げはキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と社会民主党(SPD)の前連立政権下で2007年に既に決定していたものだが、2009年秋に誕生したキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)と自由民主党(FDP)の連立政権下で、野党や労働組合が強く反発しており、実施の是非をめぐり議論が続いていた。

65歳から67歳への年金支給開始年齢の引上げは、今後2012年から2029年の長期にわたり段階的に実施される。1964年生まれの人から67歳で公的年金を受け取ることになる。なお、ドイツの繰上げ支給制度のうち35年以上の長期加入者に対する繰上げ支給は従来通り63歳とするが、受給時に一定の減額がある。また、2007年に導入した「特別長期加入者に対する老齢年金制度」により、45年以上の加入期間を満了した者は65歳からの満額受給が可能である。

高齢者の雇用・就業は改善―労働社会省発表

政府発表に先立ち労働社会省は同日、労働市場における高齢者の雇用や就業は改善しているとする調査結果を発表した。報告書によると60歳から65歳の就業率は41.1%(2010年第2四半期)と、10年前に比べ約2倍に増加した。また、60歳から64歳のうち社会保険に加入しながら働く人の割合は約23%と、同じく約2倍に増え、高齢者の仕事は量と質ともに改善した。報道(Deutsche Welle)によると、ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)のマーティン・ディーツ(Martin Dietz)研究員は、こうした高齢者の就業状況の改善は今後も続くと予測しており、ケルン経済研究所(IW)のオリヴァー・シュテテス(Oliver Stettes)研究員は、その主な要因として若年者の労働市場参加の減少や危機後の景気回復による熟練労働者不足を挙げている。

労働社会省は報告書の中で、労使などソーシャルパートナーの役割と責任の重要性について触れ、政府は今後ソーシャルパートナーと連携しながら高齢者が年金支給開始年齢まで働ける環境づくりを促進するとしている。

参考資料

  • 労働社会省報告書「Better Working Life for Older People」(英語版、12月13日掲載)、労働社会省プレスリリース(11月17日付)、Deutsche Welle(11月17日付)

関連情報

2010年12月 ドイツの記事一覧

関連情報