RSA(積極的連帯所得手当)スタート

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2009年9月

新制度、6月1日より開始

雇用省統計局(DARES)では、2009年6月1日から、生活保護を受けていた失業者が就職しても手当の一部を引き続き受け取れる新制度「積極的連帯所得手当(RSA:Le revenue de solidarité active)」が全国的に導入されたことを受け、雇用局に求職者登録する人数が今後大幅に増加すると予測している。

同制度は、1988年に導入された「社会参入最低所得手当(RMI:Le revenu minimum d'insertion)」、「単身手当(API)(注1)」及び「雇用手当(PPE)(注2)」に代わる制度で、「働かずに生活保護を受けるよりも、少しでも働いた方が収入増加につながる制度」として、一部の県での試験的導入を経て、2008年12月1日の法律により全国的導入が決定した(注3)。「貧困と闘うために、受給者に最低限の生活手段を保障し、職に就くあるいは復職することを奨励し、受給者の社会参入を手助けする」ことが狙い。RMIでは支給対象者には該当しないものの、所得が低いという者についても、RSAでは支給対象とし、低所得就業者支援を拡大した。

RSAの受給要件は、原則25歳以上(扶養している子供がある場合は25歳未満も可)の低所得者(月収880ユーロ未満)で、給付額は世帯収入や世帯の構成員の数などを考慮し計算される。その際、家族構成や扶養する子供の有無によって設定された基準額を使用する。

RSA給付額の計算に使用される基準額
世帯を構成している者の数 基準額
単身の成人一人 454.63 ユーロ 
扶養する子のいない成人二人 681.95 ユーロ
扶養する子1人についての加算  子ども2人までは136.39 ユーロ
3人目からは181.85 ユーロ
子どもがいる単身の成人一人 778.32 ユーロ
(+ 194.58 ユーロ 追加の子)

©  La Documentation française, 21 Avril 2009 - Réf. : F19781

RSA受給者が、「無職で、収入がRSA給付額の計算に使用される基準額(独身で子供がいない場合は454.63ユーロ/月)よりも低い」または、「直近の3ヵ月の平均月額賃金が500.00ユーロ未満」――である場合、積極的に求職活動を行わなくてはならない。同時に、その活動に対する援助(雇用復帰個別支援)を受ける権利がある。なんらかの理由で求職活動を行えない場合は、6カ月ごとに現況確認がおこなわれる。なお、就職した後は、手当の最高38%を引き続き受給でき、月におよそ700ユーロの収入が保障されることになる。

RMIでは、少しでも働いて収入を得るとその分手当が削られるということなどから、就労意欲が著しく損なわれ、社会復帰率の低下が大きな問題となっていた(注4)。政府は、RSAの導入により、雇用促進と収入増による消費の拡大も目指しており、労働関係制度では2000年の週35時間労働制の導入以来の大規模改革と言われている。

参考

参考レート

  • 1ユーロ(EUR)=133.282円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2009年9月8日現在)

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