2007年労働協約適用率、西独地域63%、東独地域54%
―IAB調査

カテゴリー:労使関係

ドイツの記事一覧

  • 国別労働トピック:2009年3月

IAB(労働市場・職業研究所)はこのほど、2007年の労働協約適用率に関する最新データを公表した。調査は、IABが従業員規模5人以上の1万6000事業所を対象に実施したパネル調査に基づくもので、2007年における従業員数・事業所数ベースの協約適用率と事業所委員会とその他の従業員代表機関の設置率を明らかにしている。調査結果によれば、従業員数でみた労働協約の適用率は、西独地域が63%、東独地域が54%で、事業所数ベースでは、西独地域の適用率が39%、東独地域では24%となった。事業所委員会については、従業員規模500人以上の大企業の設置事業所比率が9割に及んでいる一方で、5人以上50人未満の事業所では1割に満たないことが明らかになった。

依然として部門別労働協約が支配的

労働協約には、労働組合と使用者団体が結ぶ部門別労働協約(産業別に締結された労働協約)と、労働組合と個々の使用者が結ぶ企業別労働協約がある。調査は、部門別労働協約と企業別労働協約に分けて、協約適用率を調べている。調査結果(表1)によれば、2007年において、西独地域で部門別労働協約の適用を受ける従業員数は全体の56%で、企業別労働協約にカバーされる従業員比率は7%、合計のカバー率は63%となった。一方、東独地域では部門別労働協約適用率が41%、企業別労働協約適用率が13%で、合計のカバー率は54%だった。労働協約の形態としては依然として部門別労働協約が支配的で、企業別労働協約の比重が高いのは東独地域の一部部門に過ぎない。また、協約の拘束を受けない場合でも、個別労働契約によって協約を援用する形で、協約と同一の労働条件が適用される従業員は、拘束を受けない従業員のうち53%(西独地域)、49%(東独地域)となった。

2004年との比較でみると、西独地域の協約適用率は5ポイント下がり、依然として低下傾向が続いているが、東独地域では1ポイント上昇した。東独地域でのカバー率の低下はここ数年歯止めがかかっているものの、1996年~2007年の時系列推移をみると、15ポイントと大幅な低下が観察されており、西独地域の低下幅(13ポイント)を上回っている。

次に協約適用率を事業所数でみると、別の傾向が浮かび上がる(表2)。西独地域では全体のカバー率が39%(部門別労働協約適用率が36%、企業別労働協約適用率が3%)、東独地域では24%(同20%、4%)だった。従業員数ベースの適用率と事業所数ベースの適用率の差は、事業所規模が小さいほど適用率が低く、大企業では高いことに起因する。また、協約のない事業所のうち労働条件が協約に準拠している事業所は、42%(西独地域)、41%(東独地域)だった(表2)。部門別では、適用率が最も高いのが公的部門で、逆に最も低いのがビジネスサービス部門だった。

事業所委員会設置率、大企業で高水準

調査は、民間部門(農業部門を除く)の事業所委員会およびその他の従業員代表機関(ラウンドテーブル交渉等)の設置比率についても調べている。事業所委員会は、従業員規模5人以上の事業所に設置されることになっている。調査結果(表3)によると、従業員規模5人以上の民間部門の事業所の事業所委員会設置比率は10%(適用従業員比率で45%)に過ぎない。だが、事業所委員会の設置率は事業所規模と強く相関しており、従業員規模5人以上50人未満の事業所の設置率は東西ともにわずか6%だったが、500人以上の事業所では西独地域で90%、東独地域でも85%と高い水準に及んだ。事業所委員会の設置率は1995年以降低下傾向にあるが、2004年以降全般的に安定的な推移となっている。他方、2007年においてその他の従業員代表組織がある事業所は全体で8%、適用従業員は10%と低水準で、事業所委員会に比して普及度が低いことを示している。

部門別にみると、サービス業は、製造業に比して、協約の適用を受けず、事業所委員会もない事業所比率がかなり高い。もっとも、両部門のカバー率の乖離を地域別にみると、東独地域ではさほど顕著ではないことが分かる。これは、東独地域では、製造業についても相当数の従業員が事業所委員会にも部門別協約にもカバーされていない傾向を反映している。

注:サンプル数が少ないため、表示していない。

出所:IAB-Betriebspanel 2007

注:サンプル数が少ないため、表示していない。

出所: IAB-Betriebspanel 2007

注:従業員規模5人以上の事業所を対象としたデータ。

出所: IAB-Betriebspanel 2007

資料出所

2009年3月 ドイツの記事一覧

関連情報