医療保険加入状況は地域間、年齢間、人種間で大きな格差

カテゴリー:勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2009年10月

オバマ政権において医療保険制度の抜本的な改革は最重要課題の一つである。議会で議論が盛んに行われるなか、商務省センサス局が9月22日、現行の医療保険制度の加入率に関するレポート『米国コミュニティ調査2008における医療保険カバーに関する予備的評価』(注1)を公表した。同レポートによれば、医療保険の加入率には年齢や地域などによって格差があることが浮き彫りになった。

米国における医療保険の無保険者は4630万人で、人口の15.4%に相当すると言われている。これは、センサス局が公表している『貧困レポート』(注2)の最新版による数値である。今回公表されたレポートは、月ごとに25万世帯を対象とする「米国コミュニティ調査」から推計されたもので、地域間や年齢別、エスニックグループ別などの特徴が明らかにされている。

総人口(軍人を除く)のうち58.7%が使用者のもっている保険プログラムに加入しており、14.2%が自身で直接民間保険に加入し、メディケアやメディケイド(注3)によってカバーされているのは13.5%である。なお1人で複数の保険に加入している場合もある。

州ごとの無保険率を比較すると、最も低いマサチューセッツ州が4.1%であるのに対して、最も高いテキサス州では24.1%にのぼっている。マサチューセッツ州では2006年4月、州民に医療保険加入を義務付けする制度が成立していることもあり(注45)保険加入率が際立って高い。無保険率が10%以下で保険加入率が高いのはワシントンDCやコネチカット州、ハワイ州、アイオワ州、ミネソタ州など8州であるのに対し、無保険率が20%を超えるのは、アラスカ州やフロリダ州、ネバダ州など5つの州である(表1参照)。加入率の高い州は概ね北部・東部に位置し、低い州が南部や南西部に位置する傾向が見られる。

表1:無保険率上位と下位の州(単位:%)
テキサス州 24.1 マサチューセッツ州 4.1
ニューメキシコ州 21.4 ハワイ州 6.7
ネバダ州 21.3 ワシントンDC 8.0
フロリダ州 20.8 コネチカット州 9.0
アラスカ州 20.1 ウィスコンシン州 9.1

資料出所:センサス局資料

年齢別で見た場合、18~24歳層の無保険率が高く28.6%に達している。25~34歳層でも26.7%にのぼる。一方で65歳以上(1.4%)、18歳以下(9.9%)の無保険率は低い。高齢者の無保険率が低いのはメディケア・プログラムによってカバーされている結果であり、18歳以下には政府による児童向け社会保障プログラムがあるためであると指摘している。また、レポートでは失業者のほぼ半数(48.1%)が無保険状態にあり、就業者の17.3%を大きく上回る結果が示されている。

人種およびエスニックグループ別に見た場合、アメリカ先住民およびアラスカ先住民系が最も無保険率が高く31.6%、ヒスパニック系が31.5%、次いで黒人の18.0%、一方、白人は低く13.3%、アジア系では14.5%という結果であった。

参考資料

  • Daily Labor Report, Sep. 23, 2009

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