中高年向けの失業対策、若年者向け職業教育に重点
―2008年の労働市場政策

カテゴリー:若年者雇用高齢者雇用統計

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  • 国別労働トピック:2008年2月

2007年の平均失業者数は377万6000人で前年より71万1000人減少した。平均失業率も前年より1.8ポイント低い9.0%だった。最悪の失業情勢だった2005年に比べると失業者数が108万4000人(22%)減少した。メルケル首相は、この失業水準でもまだ高すぎるとして、引き続き失業との闘いを2008年の重点目標の1つに掲げ、連邦政府は中高年・地域向け失業対策、若年者向けの職業教育対策などの労働市場政策を実施する。

1.労働市場の状況

2008年1月の失業者数は前年同月より62万5000人少ない365万9000人、失業率は前年同月より1.5ポイント低い8.7%だった。12月の就業者数は前年同月より58万6000人増加して4020万2000人となった。11月の社会保険加入義務のある就業者数は前年同月より54万5000人多い2745万6000人だった。

2007年の平均失業者数は377万6000人で前年より71万1000人減少した。このうち、125万3000人(33%)が失業給付Ⅰ(失業保険財源に基づく通常の失業手当)を受給し、252万3000人(67%)が失業給付Ⅱ(税財源に基づく就労能力のある生活困窮者を対象とする最低生活保障給付)を受給していた。2006年との比較では、失業給付Ⅰ受給者が41万1000人(25%)、失業給付Ⅱ受給者が30万人(11%)それぞれ減少した。

2007年の東西別の平均失業者数は、西部ドイツが前年より52万1000人(17%)減少して248万6000人、東部ドイツが前年より19万人(13%)減少して129万1000人となった。

2007年の平均失業率は前年より1.8ポイント低い9.0%であった。東部ドイツの平均失業率は15.1%で西部ドイツの7.5%の2倍となっている。

表:失業統計(2003~2007年、年平均)
  2003年 2004年 2005年 2006年
失業者数(人) 4,376,795 4,381,281 4,860,880 4,487,233
  男性 2,446,215 2,448,719 2,605,656 2,337,913
  女性 1,930,580 1,932,563 2,254,772 2,149,203
 25歳以下 516,135 504,381 618,868 522,804
  20歳以下 84,299 75,062 123,701 108,472
 50歳以上 1,094,268 1,079,967 1,210,115 1,161,278
  55歳以上 531,889 483,274 580,447 567,868
 外国人 542,966 545,080 672,951 643,779
失業率(%) 10.5 10.5 11.7 10.8
  2007  2006年との比較  
増減
失業者数(人) 3,776,425 -710,808 -15.8
  男性 1,900,295 -437,618 -18.7
  女性 1,873,396 -275,807 -12.8
 25歳以下 404,911 -117,893 -22.6
  20歳以下 83,394 -25,078 -23.1
 50歳以上 987,351 -173,927 -15.0
  55歳以上 475,421 -92,447 -16.3
 外国人 559,096 -84,683 -13.2
失業率(%) 9.0 - -

出所:連邦雇用エージェンシー

2. 2008年の労働市場政策

連邦政府は、失業のさらなる削減を目標に、地域における中高年向け就業促進プログラムの延長、自治体コンビ賃金の導入、職業紹介クーポン規定の延長などの施策を実施する。また、これまで職業教育機会に恵まれなかった若年者を支援するため、企業向け職業教育助成制度を導入する。

(1)地域における中高年就業促進プログラム

2005年11月の連立協定に基づき実施されてきた「展望50プラス―地域における中高年就業促進プログラム」(Perspektive 50 plus)を、2008年1月1日からさらに3年間延長する。このプログラムは、中高年の再就職に向けた62の先進的な地域就業促進プロジェクトを助成している。第2期は、社会的援助を必要とする中高年長期失業者の労働市場への再統合を目的に、国家予算に2億7500万ユーロが計上された。

(2)自治体コンビ賃金

失業率が平均15%以上の全国79地域を対象に、自治体または郡が公共の利益となる追加的な仕事を行う雇用ポストを創出する場合、連邦政府が助成するコンビ賃金プログラムを導入する。内容は、1年以上失業給付Ⅱを受給し、2年以上失業している者を雇用する自治体または郡に対し、連邦政府が総労働報酬の50%(ただし、500ユーロが上限)を助成する。50歳以上の中高年長期失業者を雇用する場合は、助成金を100ユーロ増額する。自治体の同意が得られれば、自治体以外の福祉団体等での雇用も助成の対象となる。連邦政府は、2008年1月1日から2009年12月31日までの2年間で総額約17億ユーロの予算を計上している。

(3)職業紹介クーポンに関する規定の延長

職業紹介クーポンは、失業後6週間経過しても就職できない失業者が希望する場合、雇用エージェンシー(職業安定所)が民間事業者の職業紹介サービスを利用できるクーポンを発行する制度である。民間事業者はクーポンを持つ失業者を就職させた場合、雇用エージェンシーから1000ユーロの支払いを受け、就職後6カ月間雇用が継続すればさらに1000ユーロの支払いを受ける。有効期間は2007年12月31日までとされていた。この制度について、1)クーポンの請求権を失業後6週間から2カ月に変更、2)長期失業者・障害者に対し、職場に慣れるための最低6カ月間の後、さらに500ユーロを増額支給(最高2500ユーロ)――の2点を改正し、有効期間を2010年12月31日まで延長する。

(4)若年者の職業教育支援

連邦教育省と連邦労働社会省は、「職業教育による社会的昇進」をスローガンに、これまで職業教育の機会を得ることができなかった若年者を支援するプログラムを実施する。追加的職業教育ポストを提供する企業に対し、6000ユーロを上限とする教育ボ-ナスを支給する。2010年末までの3年間に約10万人の若年者に対して職業教育の場を提供することを目標としている。

参考レート

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