工資条例など制定へ

カテゴリー:労働法・働くルール労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2008年2月

中国で労働関係の法律の制定、改正の動きが広がっている。先に成立した「労働契約法」に続き、「工資(賃金)条例」が年内にも制定される可能性がでてきた。また、このほか「労働争議仲裁法」「社会保険法」「戸籍管理法」なども起草されており、労働関係の法律は順次適正な時期に改正される見込みとなっている。時事、中国各紙が報じた。中国紙.2一世紀経済報道によると、人民大学労働人事学院は「工資条例」が起草中であることに触れ、「内容をめぐる論争はまだ大きいものの、年内完成についての懸念はほぼなくなった」との楽観的見方を示した。「労働契約法」に続いて今年は同条例が労使双方で注目を集めることが予想される。

「工資条例」制定の目的については、労働社会保障省の孫次官が「正常な賃金上昇と賃金支払いのメカニズムを確立し、労働者の賃金が低く、賃上げペースが緩慢で未払いが多いなどの問題を解決することが、条例の核心的内容」と述べている。一方、人民大学労働人事学院の文教授は、「今後12年間で賃金総額は3~4倍増える余地がある」との見方を示した。国家統計局のデータによれば、中国の国内総生産(GDP)は1993年の3兆5334億元から2004年の15兆9878億元へと4.52倍になったが、労働者の賃金総額は4916億2000万元から1兆6900億2000万元へと3.44倍にとどまっている。文教授は「この11年間、GDPに占める賃金総額の割合は17.28%から12.16%に下がった」とし、これは極めて不正常だと指摘する。珠江デルタでは生産率が米国の17%に達しているのに、賃金水準は米国の6.67%でしかないというのがその根拠だ。同教授は「過去20年間、中国経済の高速成長は賃金コスト節約の上に成り立ったもの」と指摘、労働力価値が長期にわたって低く評価されてきたため、低賃金現象が普遍的に存在するだけでなく、「国家産業の利潤と競争力の算出メカニズムの不合理さ」という重大な結果をもたらしたと強調している。

出所

  • 時事、21世紀経済報道

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