フィヨン新内閣スタート
5月18日、サルコジ大統領より首相に任命されたフィヨン元国民教育相は、15人の大臣と4人の閣外大臣から構成される新内閣を発足した。約半数の7人が女性であり、外相に野党・社会党のベルナール・クシュネル元保健相を、国防相に中道・フランス民主連合(UDF)のエルベ・モラン氏を、法相に移民系女性のラシダ・ダチ元検事代理を起用するなど、「開かれた内閣」をアピールした。
フィヨン首相に次ぐ副首相格の環境・持続的開発相にはアラン・ジュペ元首相が就任。野党から批判が出ていた新設の移民・社会統合・同化・国家アイデンティティ相には、大統領の側近ブリス・オルトフー氏が就任した。また、雇用問題が重視されるなか「労働・社会関係・連帯相」とは別に「経済・財政・雇用相」を設置し、ジャンルイ・ボルロー元雇用・労働・社会統合相が起用された。
「労働・社会関係・連帯省」は、労働、社会的関係、労災・職業病の予防、女性の権利、職業上の男女平等、そして「保健・青年・スポーツ省」、「住宅・都市省」及び「予算・公的会計・公務省」の管轄外の社会福祉及び社会的保護の分野における政策を担当する。一方、「経済・財務・雇用省」は、経済、財政、消費、雇用、職業訓練、不法行為の防止、海外取引、産業、観光業、中小企業、商業及び手工業、そして自営業に関する政策を担当する。同省は、職人団体や商工会議所の監督を行い、起業や企業に課せられる諸手続きの簡素化に関する権限を持つ。
フィヨン新首相は、ドヴィルパン前首相との引継ぎ後に行われた会見で、「すべての国民の声に耳を傾け、サルコジ大統領の掲げる公約を実現する」と改革に向けた決意を表明した。そして、「まず、6月10日および17日に実施される国会選挙に勝利することが重要」とし、国会選挙後に早速、三つの優先事項――(1)治安問題(再犯者の最低刑罰に関するものや、未成年の再犯者には成人に達する年齢を刑事上では16歳に設定するなどの法案策定)、(2)「労働の再評価」(超過勤務時間の減税や社会保障負担免除等)、(3)税制の見直し――に着手するとした。
○新内閣メンバー
- 首相:
- フランソワ・フィヨン(53歳)
- 環境・持続的開発・エネルギー・運輸相:
- アラン・ジュッペ(61歳)
- 経済・財務・雇用相:
- ジャンルイ・ボルロー(56歳)
- 内務・海外領土・地方自治相:
- ミシェル・アリヨマリ(60歳、女性)
- 外務・欧州相:
- ベルナール・クシュネル(67歳)
- 移民・社会統合・アイデンティティ・共同開発相:
- ブリス・オルトフー(49歳)
- 法務相:
- ラシダ・ダチ(41歳、女性)
- 労働・社会関係・連帯相:
- グザビエ・ベルトラン(42歳)
- 教育相:
- グザビエ・ダルコス(59歳)
- 高等教育・研究相:
- バレリー・ペクレス(39歳、女性)
- 国防相:
- エルヴェ・モラン(45歳)
- 保健・青年・スポーツ相:
- ロズリーヌ・バシュロ、(60歳、女性)
- 住宅・都市相:
- クリスチーヌ・ブタン(63歳、女性)
- 農業・漁業相:
- クリスチーヌ・ラガルド(51歳、女性)
- 文化・通信相兼政府報道官:
- クリスチーヌ・アルバネル(51歳、女性)
- 予算・公的会計・公務担当相:
- エリック・ベルト(51歳)
***閣外相***
- 首相と国会の関係相:
- ロジェ・カルチ(55歳)
- 政策評価相(首相につく):
- エリック・ベッソン(49歳)
- 交通機関相(環境大臣につく):
- ドミニク・ビュスロー(54歳)
- ヨーロッパ問題相(外務大臣につく):
- ジャン=ピエール・ジュイエ(53歳)
また、政府外の「貧困撲滅のための積極的連帯委員会」の委員長にマルタン・イルシュ氏(43歳、Emmaus-France社社長)が任命された。
2007年6月 国別労働トピック:フランス
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