新大統領にサルコジ氏

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2007年5月

フランスで5年ぶりとなる大統領選の決戦投票が5月6日行われ、即日開票の結果、与党・国民運動連合(UMP)のニコラ・サルコジ党首が、決戦投票に残った社会党候補セゴレーヌ・ロワイヤル氏を破り当選した。仏大統領の交代は1995年の現職シラク大統領以来12年振りとなる。

サルコジ氏は今年に入ってからの選挙戦では一貫して他候補をリード、4月22日の第一次選挙ではロワイヤル氏他候補を上回る得票率31%で首位に立ちそのまま独走、選挙戦終盤での逆転を狙ったロワイヤル候補の追い上げを振り切った格好だ。

雇用が主な争点の一つとなった今回の選挙の関心は高く、仏内務省の発表によると全体の投票率は83.97%で、サルコジ氏は53.06%、ロワイヤル氏は46.94%という得票率(仏内務省、暫定値)だった。

フランスは特に若年層の失業率が高く、社会不安の大きな原因となっている。2005年にはパリ近郊でアフリカ系少年が変電所に逃げ込み感電死した事件をきっかけに、移民系の若者による暴動が全国に広がった。現在も低所得層を中心に政府への不満は強く、最近もパリ北駅で若者と警官隊が衝突する騒ぎが起きた。サルコジ氏は内相として、こうした暴動に厳しい対応を取ることで支持を集めてきた。移民問題では、学歴や職業能力などで流入移民の選別化を促進する政策への転換を図るとしている。また選挙戦では「より働き、より稼ぐ」をスローガンに掲げ、週35時間労働制など雇用規制の緩和、企業の社会保障負担の軽減などを主張、競争促進を基調に経済成長を促す考えだ。対するロワイヤル陣営は最低賃金の引き上げなど社会保障の充実を訴えたが、競争重視政策を掲げ雇用不安、犯罪増による社会不安を乗り切ろうとする右派与党陣営の戦略の前に一歩届かなかったようだ。競争重視政策に一定の支持を与えたとも言えるフランスの選択。雇用政策の改革など今後の行方が注目される。

出所

  • 仏内務省、主要各紙、NNA

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