海外フィリピン人労働者(OFW)は、国内経済と急激な人口増加の緩和に貢献
2007年2月、フィリピン中央銀行(BSP)は、2006年12月の海外フィリピン人労働者(OFW)から本国への送金額は13億ドルで、2006年通年の送金額が127億ドル6131万ドルに達したと発表した。前年比19.4%増で、当初の予定額を5億ドル上回る数字となった。主な送金元の国・地域は、米国、サウジアラビア、カナダ、イタリア、英国、日本、アラブ首長国連邦(UAE)、香港、シンガポール、台湾など。
フィリピン海外雇用庁(POEA)の速報データによると、2006年に新規または再雇用で海外に働くことになったフィリピン人は、前年比10.5%増の109万2055人。現在、800万人以上のフィリピン人が海外で働いており、これは、人口の1割に相当する。フィリピンは現在、メキシコに次ぐ世界第2位の労働力「送り出し」国。平均して、毎日約2500人のフィリピン人が国を去っている。なお、これらの数字には、海外で不法に就労している300万人は含まれていない。
OFW数の増加に伴い、送金額も増加傾向にある。ここ数年間のOFWからの送金額をみると、2002年が68億8616万米ドル(前年比14.2%増)、03年が75億7846万米ドル(同10.1%増)、04年が85億5037万米ドル(12.8%増)、05年が106億8901万米ドル(25.0%増)と、2桁成長が続いていることがわかる。OFWからの送金はフィリピン経済を支える大きな柱であることから、政府は人材開発や訓練プログラムの強化などで、海外へ送り出す労働者のさらなる増加を目指している。
こうしたなか、政府の人口員会(PopCom:Commission on Population)は3月、OFWは国内経済を支えるだけでなく、フィリピンの急激な人口増加の緩和に貢献しているとの見解を示した。同委員会は、POEAのデータを基に調査中の段階で、調査は完全に終わっていないとしながらも、現段階で動向を推測することは可能と説明。夫婦のどちらかが海外就労することによる家族の離散が、出生率の減少につながるとしている。特に、女性の海外就労者数が男性を上回る点に注目している。また、海外に永住するフィリピン人の子どもが移民先の国の人口として換算されることも、国内の人口増加を和らげているともいえると説明した。
PopComは、2007年半ばに発表する「人口報告書」に、海外就労と人口の関係を盛り込む予定。
参考レート
- 1米ドル(USD)=115.90円(※みずほ銀行ウェブサイト2007年3月6日現在)
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