2007年度賃上げ水準は高位に保持

カテゴリー:労働条件・就業環境統計

マレーシアの記事一覧

  • 国別労働トピック:2007年3月

1.世界で8位の昇給率、今年の労使予測は?

英人材調査会社ECAインターナショナルが発表した「2007年の昇給率予想」によると、マレーシアは世界45カ国・地域で8番目に高かった。

昇給率は物価変動の影響を差し引いた実質で、1位はインド(7%)、2位のインドネシアと3位の中国は6%前後だった。フィリピンとタイは4%。マレーシアや日本、台湾、韓国は2~3.5%だった。ベトナムは高インフレ率が影響し、40位にとどまった。

マレーシア経営者連盟(MEF)とマレーシア労働組合会議(MTUC)は、今年の賃上げ率について、最低でも5%に達するとの見方を示している。

MEFのサムサディン・バラダン事務局長は、2~3.5%の賃上げ率は通常、経済分野に明るくない企業の経営者が適用する数字だと指摘。同連盟が昨年実施した賃金・手当調査によれば、今年の昇給率は幹部社員が5.5~5.9%、非幹部社員が5.4~5.6%。賃上げ幅の高さは、今年のインフレ率が3%弱を記録するとの見通しを反映しているという。

一方、労働団体MTUCのラジャスカラン事務局長は、賃金や諸手当の上げ幅が大きいのは、ガソリンや電気料金、高速料金など生活費が上昇していることを考えると当然の帰結だと主張している。労働者や労組からは8%の賃上げ要求も出ていると述べた。早期の労使交渉では、雇用者側が約5%の賃上げを提示している例もあり、今年の見通しは明るいという。

2.日系現地社員、製造業6.6%昇給(07年度)

NNAが実施する日系企業の現地社員給与動向調査によると、2007年度の日系製造業のマレーシア人従業員の昇給率(一般工員だけ)は平均6.6%で、前年度調査の4.8%から大幅に上昇した。一般事務員も前年の4.5%から6.1%への上昇がみられる。

マレーシアの製造業一般工員の昇給率は、東南アジア諸国連合(ASEAN)5カ国(タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン)中でタイを抜き、インドネシア、フィリピンに次ぎ3番目に大きかった。

非製造業の一般事務員では4.7%と前年度から横ばい。05年度調査からも0.2ポイントと上昇幅はわずかだった。

昇給前の平均給与は、製造業の一般工員で284.9米ドル、一般事務員で431.6米ドル。非製造業の一般事務員は494米ドルとなっている。給与額ではシンガポールに次ぐ域内2位を維持しているが、非製造業の一般事務員のタイとの差は6米ドルとなっている。

07年度製造業の平均昇給率 (一般工員・一般事務員)

図

製造業賞与月数は縮小

平均定期賞与は、製造業の一般工員・事務員ともに1.6カ月、非製造業の一般事務員が1.7カ月となった。前年度調査は、製造業の一般工員・事務員でともに1.7カ月、非製造業の一般事務員1.8カ月で縮小か横ばいとなっている。

業種別(学歴区別なし)では、四輪・二輪・自動車部品製造が一般工員で1.2カ月、一般事務員で1.3カ月、電気・電子製造が一般工員・事務員ともに1.6カ月となる。非製造業では、貿易・商社の一般事務員が1.9カ月とされた。

定期賞与をASEAN他国と比較すると、製造業の一般工員ではタイの2.9カ月が最大で、フィリピンの1.5カ月が最低。一般事務員でも同様の傾向がみられた。非製造業の事務員の場合は、タイの2.6カ月が最大でインドネシアの1.5カ月が最低となっている。

  製造業 非製造業
一般工員 一般事務員 一般事務員
タイ 2.9(2.7) 2.9(2.6) 2.6(2.2)
マレーシア 1.6(1.7) 1.6(1.7) 1.7(1.8)
シンガポール 2.1(1.6) 2.0(1.9) 2.3(2.0)
インドネシア 1.6(1.7) 1.6(1.8) 1.5(1.7)
フィリピン 1.5(1.5) 1.5(1.5) 1.9(1.6)

カッコ内は06年度

NNAは毎年11月、ASEAN5カ国と中国で給与動向調査を行っている。各国ごとに、昇給率、給与水準、賞与、手当の各項目について一般事務、一般工員、技術職、運転手、秘書など10職種、職位と16業種に分類し集計している。

今回のマレーシアでの調査はアンケート方式で1133社へ調査票を配布し、183件(16.2%)の有効回答を得た。

出所

  • NNA

参考レート

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