デンマーク産業連盟(DI)とCOインダストリーが労使協約に合意

カテゴリー:労使関係多様な働き方人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2007年3月

2007年1月から本格的にスタートした民間部門の労使交渉は、使用者団体であるデンマーク産業連盟(DI)とLO傘下の労働組合「COインダストリー」が2月25日、労使協約に合意した。同協約は民間工業分野で就労する労働者(約24万人)と同分野で事業を展開する6100の企業の間に締結された協約で、今後3年間(2010年3月まで)適用される。協約の主な内容は以下の通りである。

自由選択口座:Frit-valgs-konto

新規に開設した労働者の口座に使用者が当該労働者の給与の1%に相当する額を毎月振り込むことを定めた制度。この口座に振り込まれたお金は、(1)6週間目の休暇時に使用(注1)、(2)企業年金の掛け金に上乗せ、(3)研修費用として使用、(4)賃金として支給など、労働者の要望に応じて自由に活用できる。

男性のプラスアルファーの育児休暇

産前産後の休暇に関する法律は、母親及び父親に対して計52週間の育児休業を保障している。同法は、産前4週間及び産後14週間の休暇は女性の権利及び義務と定めている一方、男性に対しては産後2週間の休暇を保障している。同分野の労使協約ではこれまで法律が定める母親・父親合わせて20週間の休暇中の給与保障に加え、その後の6週間の休暇(3週間+3週間(注2))に関しても休暇中の給与が保障されていた。そして今次の労使協約により、父親に対し更に3週間「お墨付き」育児休暇(有給)が確保されることになった。

組合活動に対する報酬

余暇時間を利用した企業内における組合活動はこれまで無報酬であったが、今後使用者側から組合活動補助金という形で一種の報酬が支給される。例えば、従業員100人以上の企業の場合、企業の組合代表に対して年間3万クローネが支給される。また新規に選出された組合代表は、労働環境等に関する2日間の研修については、有給で2回まで参加できる。

教育基金の設立

2009年以降、就労実績が9カ月以上の労働者は技能向上のため年間最高2週間まで本人が希望する教育・研修を受けることが権利として保障されるようになることが決まった。研修・教育中の給与、また研修・教育に係わる実質的な費用は、デンマーク工業連盟が設立する「技能向上基金(注3)」により負担される。同基金の財源は、経営者が従業員一人当たり520クローネを計上することで確保される。また、従業員100人以上の企業は企業内に独自の教育・研修基金を設置することが認められているが、この場合企業内に「教育委員会」を設立し、同委員会が基金の管理・運営をすることが義務付けられている。

最低賃金の調整

今後3年間で最低賃金(時給)が段階的に調整される。現行の最低賃金(時給)は98.15クローネだが、2008年3月1日以降100.65クローネに、2009年3月1日以降は103.15クローネに引き上げる。

参考レート

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