財政法、不安定雇用労働者のために新たな資金投入

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2007年2月

不安定労働者の安定化のための基金(不安定労働者を公的部門で採用するために、同基金の資金が用いられる)が強化されることになった。政府は、「休眠」口座(注1)(死亡または行方不明等の事情により使われなくなった銀行口座)からの利子に加えて、国庫によって管理されている会社の利益配当増額分の一部(おそらく5%)を用いて、この基金を増強することを検討している。不安定労働者のための改善策として予定されている新制度のなかでもっとも重要なものとしては、いったん不安定労働者を採用した場合は、その後5年間、新たに不安定労働者を採用することを禁止した点も挙げられる。そのほか、基金を始動するために約500万ユーロを割り当てることが決められたが、公務部門で正規化すべき不安定労働者の数については触れられていない。イタリア共産党書記長のオリヴィエーロ・ディリベルトが、この数を35万人としているのに対して、ルイージ・ニコライス公務大臣は、2007年に8000人、「今後6年間に24万人」増やすと述べている。一方、ピエールルイージ・ベルサーニ発展大臣は、この数を50万人としている。

政府が、不安定労働者の現象をやっきになって食い止めようとしているのに対し、ベルサーニ大臣はこの問題から一定の距離を置こうとしている。「休眠口座だけでは、不安定労働者の問題を解決することはできない。銀行にあるお金を使って、50万人もの不安定労働者の問題を解決しようとしても、魔法の杖でもなければ無理なことである。」とベルサーニ大臣は述べている。「船を漕ぐイタリアと、船尾で座ったままのイタリアのうち、良い方を優遇すべきであることには疑い」がないとして、ルーカ・ディ・モンテツェーモロ・イタリア産業総連盟(コンフィンドゥストリア)会長は公的部門での採用の際の選抜に一定の理解を示したが、左派側の議員からは猛反発を招いている。エンマ・ボニーノ欧州事務大臣が不安定労働者に関する修正策を「単なる正規化措置」と述べていたために、ティツィアーノ・トレウ上院議員(上院労働委員会の委員長)は、(公的部門での採用のために不安定労働者を)「選抜する必要があるのなら、無差別の大量採用とは正反対だ」と反発し、上院司法委員会委員長で左派系民主党員のチェーザレ・サルヴィ上院議員は、「彼らは全くばかげたことを言っている。これは単に、不安定労働を有期契約に切り替えるにすぎない。」と政治家を激しく非難している。

一方、労働組合も、政府に対して明確なメッセージを発した。つまり、不安定労働者の問題の解決なしには、公的労働に関するいかなる協定も結ばないというのである(公的労働に関しては、事業の効率性や生産性を増加させることが目標に掲げられている)。CISL(イタリア労働者組合同盟)もCGIL(イタリア労働総同盟)も、「無責任な扇動行為を増幅させるような不適切で欠陥の多い立場であって、提案が曖昧」であるとして、政府を非難している。一方で、パオロ・ネロッツィCGIL総裁は、問題の沈静化のために次のようにも述べた。「有期契約で何年も前から公的部門(医療、地方自治体、研究・調査)で働いている人たちがいて、彼らに対して(試験のような要件を課すことで)固定契約を認めることは正当である」。ネロッツィによれば、この場合、彼らがすでに給料を得ていることからして、付加的コストが最低限で済むことになる。

ニコライス大臣もまた、公的部門で30万人もの不安定労働者(離職者を考慮すると24万人)を採用することは、「チェーザレ・ダミアーノ労働大臣が提唱した計画では可能である」とし、「不安定労働の問題は、労働組合と一致団結して立ち向かうべきであり、数日中にも安定化のための計画を提出することになるだろう。」と述べた。この計画では、「試験を伴わずに安定化すべき不安定労働者は、過去に試験を受けたことがあり、3年以上働いている労働者に限る」内容となる予定とされている。

出所

  • 2006年12月13日付けCorriere della Sera

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