都市部失業率が0.1ポイント低下

カテゴリー:雇用・失業問題統計

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  • 国別労働トピック:2007年11月

中国労働社会保障部は22日、今年1-9月都市部で新たに920万人の雇用が創出され、都市部の登録失業率は昨年同期比で0.1ポイント低下した4.0%になったとの雇用情勢を発表した。政府の今年の当初見通しは4.6%であった。国内専門家によるとこの変化は大きなものではないが、中国失業率の上昇が折り返し点を過ぎたとの見方が強い。雇用創出数については、通年の目標値900万人をすでに前倒しで達成した格好だ。他方解雇された労働者で再就職した者は406万人となり、通年目標値(500万人)の81%を達成している。

ここ数年の都市部登録失業率の推移を見ると、01-06年の各年末時の都市部登録失業率はそれぞれ、3.6%、4.0%、4.3%、4.2%、4.2%、4.1%となっており、03年をピークに下降傾向を示している。04年に前年の4.3%から4.2%に下がった際、当局は「失業率の低下が始まったと説明するにはまだ早い。03年の状況は新型肺炎(SARS)の発生及び労働力の供給過多等特殊な事情によるもので参考にならない」との認識を示していた。一方、06年から今年第3四半期にかけての持続的な低下については、自信をもって安定した低下基調に入ったものとの判断を示している。また専門家は、経済の持続的発展が安定していること、そして来年の北京五輪の開催に伴う雇用刺激を考慮すると、08年の都市部登録失業率は6年ぶりに4%台を割る可能性があるとの見方を示している。もちろん都市部登録失業率の安定した低下傾向に経済成長の力強い牽引が果たした貢献を無視することはできない。06年に中国の国内総生産(GDP)は前年比10.5%の伸びを示し、初めて20兆元を突破した結果、都市部の新規雇用も1000万人を突破した。

だが、こうした良好な基調の維持は容易ではない。第11次5カ年計画(2006~10年)中、都市部で毎年新たに1000万人の新規労働力が労働市場に参入し、農村部ではさらに1億2000万人の余剰労働力が就業先を求めていることから、労働力全体としてはなお供給過剰の状態が続くとの厳しい見方も一方に存在する。一時的に失業率が下降したとはいえ、経済失速及び大量の余剰労働力等懸念材料も多く、今後の雇用情勢の動向については目が離せない。

出所

  • 労働社会保障部、人民網、時事ワールド他

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