人種間賃金格差

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2007年1月

ブラジル地理統計資料院(IBGE)が 2006年9月に発表した6大首都圏月間雇用調査で、白人と黒人および褐色系など有色人種間の学歴別賃金格差を分析したところ、高学歴になるほど、白人と有色人種との賃金格差が大きくなっていることが判明した。

IBGEによると、白人の平均月収が1292レアル(約6万7536円)であるのに対し、有色系は約半分の660レアル(約3万4500円)となっている。この差は、大卒の賃金格差に原因があるという。大卒の場合、白人の月収が平均1728レアル(約9万327円)であるのに対し、有色系は899レアル(約4万6993円)となっている。学歴が低くなると、この人種間格差は小さくなる。研究者たちは、有色系の月収が低い原因として、有色人種を社会経済から除外しようとする古い観念が未だ存在し、さらに富裕階層では有名校などで質の高い教育を授けることができるが、中流以下は大学の質をあまり選択できない経済的立場にあることが原因と指摘している。

こうした状況により、国民の10%を占める高い所得層―平均月収1785レアル(約9万3307円))の83.3%を白人が占め、他の有色系では14.4%にとどまる。反対に国民の10%にあたる最も貧しい層では、有色系が52.3%と過半数を占める。これは、ブラジル憲法が人種差別を禁止しているのにもかかわらず、実社会においては人種差別が存在することを示唆する。

また、顧客の反応に敏感な職種ほど、従業員採用に人種差別が大きいことも知られている。サンパウロ首都圏では経済活動人口に占める白人は72%、黒人は28%となっているが、銀行では従業員に占める黒人、褐色系は8%にとどまっている。

出所

  • 海外委託調査員

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