新たな若年失業対策をめぐる議論が活発化

カテゴリー:雇用・失業問題若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2007年1月

オーストラリアでは、長期失業者になる恐れのある者を対象に、労働市場への参入をうながす一定の活動への参加を義務付け、参加しない場合は失業給付(注1)を減額する施策「相互義務(Mutual Obligation)」を実施している。これに対し、野党労働党のクレイグ・エマソン議員は「6カ月以内に学校や職業訓練に参加しない者への給付を打ち切る」との改革案を提案、家にこもってゲームに没頭する若者を労働市場に参入させる新たな施策の必要性を強調した。エマソン議員は、現在4.8%の低失業率を達成しているにも関わらず、義務教育未修了者の約半数が失業している事実について「改革案の目的は処分にあるのではない。豊かな未来を築くために必要な教育と技能を若者たちに提供することにある。これはあくまでも学習・就業プログラムであって、何もしないでのらくらと暮らせるような選択肢は用意されていない」と述べ、慢性的な失業状態に陥る危険性がある者へ何らかの対策を行なうべきだとしている。

これに対し、オーストラリア社会保障評議会のアンドリュー・ジョンソン会長は、このような案はすでに米国では失敗に終わっているとエマソン議員の主張に異議を唱え、「社会的に不利な立場にある人々の学習と就業を支援するには、期限付き給付では不公平かつ非効率的である。すべての給付金に給付期限を設けた国、たとえば米国では、子供の貧困率が高く、若者の就業率はここオーストラリアよりも低いのが現状である」と語っている。

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