大卒失業者の雇用対策として公務員3万人採用

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2006年9月

7月12日付現地紙の報道によれば、ナジブ副首相は7月11日、大卒失業者の雇用対策として、約3万人を早急に公務員として採用するよう、首相府の人事院(PSD)と公務員人事委員会(PSU)に指示した。

大卒失業者の内訳

公務員の欠員は2006年7月現在で約7万4000人であるが、このうち学位取得者の欠員は約3万人である。ナジブ副首相は、政府機関が3万人を採用することにより、失業者を早急に削減し、かつ公共サービスの効率性を向上させることができると述べた。

同副首相の発表によれば、大卒で希望に即した職に就いていない約6万人のうち、約2万4000人が失業者で、3万6000人は大学で学んだ専門分野と無関係な職に就いているか、不本意ながらパートタイムや臨時雇用などに就いているとされる。また、6万人のうち約70%を女性とブミプトラ(マレー人と先住民族)が占める。失業者の内訳を専門分野別に見ると、行政、経営、人的資源管理等を履修した者が18.6%であり、コンピュータやIT分野を履修した者は16.3%、工学系が13.5%であり、人文社会科学系は11.9%であった。

その他の大卒失業者雇用対策

大卒失業者を公務員として採用するという構想は、6月上旬にアブドラ首相が提唱したものである。ナジブ副首相は、大卒失業者問題に関する特別委員会の委員長であり、委員には、教育大臣、高等教育大臣、人的資源大臣、財務大臣、農業大臣、起業家・共同組合開発大臣、科学技術大臣が名を連ねている。

7月11日に開催された大卒失業者に関する政府の特別委員会の第1回会合では、公務員としての3万人採用以外に、失業者に訓練を施す政府系企業と民間企業に対し、財務省が税制優遇措置を与えることや、訓練プログラムの強化充実を図ることなどが検討された。また大学に対しては、需要に即した人材を供給するため、労働市場のニーズを的確に把握するよう求める方針を明らかにした。これに関し、ナジブ副首相は高等教育省にカリキュラムを見直すよう求めた。具体的には、情報通信技術(ICT)専門コース、起業家プログラムの充実や、英語能力強化のための履修科目見直し等を行うよう求めた。また、初等・中等教育機関の教員の採用枠を増やし、大卒失業者のうち教職希望者を就職させること、求人・求職データベースの利用拠点を増やすなどして利便性を上げたり、より頻繁に人的資源省によるジョブフェアを開催するなどの工夫を凝らすことも検討課題として上がった。

参考

  • 7月12日付スター紙、ニュー・ストレイツ・タイムス紙

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