政府と労組との交渉再開
―年金制度の見直しはなし

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2006年8月

6月12日、政府と労働組合との非公式の会合が、政権交代後に初めて開かれた。会合の席では、提示された今後の検討課題(2006年会計に関する見直し措置の第2戦略や経済財政計画書(DPEF))のうち、とくに租税削減措置について話し合いがもたれた。一方、労働組合が懸念している年金制度の見直しについては、検討課題として挙げられなかった。

会合には、プローディ首相および3大総連合(CGIL(イタリア総同盟)、CISL(イタリア労働組合連盟)およびUIL(イタリア労働連合))の各総裁(グリエルモ・エピファーニCGIL総裁、ラファエーレ・ボナンニCISL総裁およびルイージ・アンジェレッティUIL総裁)のほか、トンマーゾ・パドア=ショッパ経済財政大臣およびピエールルイージ・ベルサーニ経済発展大臣が参加している。

この会合において、政府は、統一的な修正措置と発展のための政策を採用し、「2工程の政策」はないと明言した。会合では、具体的な数値の提示はなかったが、社会的費用関連の措置の実施は明確に否定されており、この点が労組の好感を得たようである。政府にとって最初の試練となる租税削減措置は、「選択的」なもので、労働者の約半数に関わることになる予定とされている(社会保険料の引き下げはない)。

アンジェレッティUIL総裁によれば、「年金については話し合わなかった」とされているが、ボナンニ総裁は、年金受給年齢措置の見直しといった「社会保障関連の措置について噂されているあらゆる暴挙は、根拠を欠くもの」という政府の立場を明らかにしている。また、プローディ首相は、ベルルスコーニ政権が定めた補足的保障制度(概ね企業年金制度に相当)改革の前倒しの可能性についても触れたと伝えられた。

この非公式の会合終了後に、エピファーニCGIL総裁は、「政府は、ベルルスコーニ政権よりも革新的な折衝および協調の方法を用いたいと強調しており、私および我々からすれば大変評価すべきことである」と述べている。また、ボナンニCISL総裁は、パドア=ショッパ経済財政大臣が賃金抑制策に関する発言(注1)の意図を明確にしたことを歓迎して、次のように述べた。「大臣は、労組との協調が、拒否のためにではなく、負担と所得の分配のために用いられるべきだと主張した」。CGIL、CISLおよびUILの3大総連合は、「協調過程を再開することができるという事実については、かなり確信をもっている」。ボナンニ総裁は加えて、3大総連合の間には、基本的な立場の違いはないことを強調している。

エピファーニ総裁は、「イタリアは、長い停滞期にあるため、発展のための方策を取る必要がある。また、イタリアでは、ここ数年、労働条件および賃金に関して問題を抱える部門が存在するため、公平についても議論しなければならない。こうした観点から、政府の政策は、とくに、不安定雇用に就いている若年者、労働者、高齢者および年金受給者といった人々の要求に答えるようなものであることが望まれる。修正措置については、どのようなものにせよ、統一的な立場をとることを求めた。重要なのは、発展、回復および公平を統一的に考えることである」と述べている。

出所

  • Corriere della Sera紙(6月12日・13日付)

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