若年者雇用問題が大卒者の就職に影響、「低賃金に甘んじる」か「就職断念」か

カテゴリー:若年者雇用

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  • 国別労働トピック:2006年5月

韓国統計庁は、若年者の雇用者数が最近7年間で最大の減少したことをこのほど明らかにしたが、同時に失業者数も減少しており、これは厳しい労働市場の状況を反映し求職活動を諦める者が増えていることを示唆している。

若年層(15~29歳)の就業者数は400万人(2月)であったが、前年比4.7%の減少で1999年以来最大の減少幅を示した。一方、若年層の失業率(3月)は前年同月比0.3ポイント下落の8.5%になった。この原因として同庁は、大卒者のうち仕事を探すよりはむしろ、大学院に進学するか公務員試験受験に向かった者が多く発生した可能性があるとコメントしている。

このように、大卒者の就職難は深刻さを増しており、就職した大卒者の中にも、大卒に相応しい仕事に就くことができず、低賃金やパートタイマーとしての仕事を続ける者が増えているとみられる。

韓国財政経済部によれば、昨年29万9000人の雇用創出があったが、一昨年の41万8000人からかなり減少した。創出された仕事の多くは臨時又はパートであり、大学教育を受けた者が就くような”仕事環境のよい”、”高給”な仕事ではなかった。政府はこの3年間にサービス部門において94万8000人の雇用創出を図ってきたが、その8割以上は低賃金で月平均賃金である240万ウォンより低い給与であった。

就職情報に関するプロバイダー企業である「インクルート」の調査では、経営環境の先行き不透明感から新規採用を見送る企業が多くなったため、調査対象1302人の大学新卒者(昨年8月卒業者ものがほとんど)のうち、約4割の498人がまだ仕事を探しているという結果であった。こうした状況について、同社の担当者は「企業側が大学卒者より経験や知識のある者を採用しようとする傾向にあること、その結果として、大卒者同士が限られたホワイトカラー職の獲得のための激しい競争を強いられているため、労働市場が一層悪化している」と見ている。

資料出所

  • 韓国経営者協会(Korea Employers Federation:KEF)

参考

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