バンコクの最低賃金200バーツ引き上げ構想

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  • 国別労働トピック:2006年4月

タクシン首相は2月14日、国会経済社会開発委員会(NESDB)事務局に対し、最低賃金を引き上げた場合の物価と経済成長に対する影響の研究を進めるように指示を出し、労働界からの強い要望である日給200バーツの実施の可能性を政府が検討中であることが明らかとなった。

日給200バーツの要求は数年前から労組を中心に要求されてきた金額ではあったが、政府は経済危機後の経済回復の状況を踏まえ、段階的な賃金の引き上げによって対応する形となっていた。2006年1月1日には全国の最低賃金改訂が行われ、バンコク首都圏では184バーツとなっている。法定賃金も140バーツに引き上げられた。

2005年からの原油価格の高騰による生活費の上昇、バンコク首都圏での家賃の上昇といった要因により、都市部での労働者の生活が圧迫されているという認識が背景にある。

一方、下級公務員の月給も、7000バーツ以下の場合7000バーツに引き上げ、7000~1万バーツの場合は、月額1000バーツ増加させることを決定した。

今回の首相の最賃引き上げの示唆は、首相退陣要求を意識したものと見られ、批判の声も挙がっている。タイ工業連盟(FTI)のキアットポン副会長は、タイの工業界の最大の問題点は労働コストではなく熟練労働者の不足によるスキル面での問題であると指摘している。

参考

  • Bangkok Post,2006年2月10日、週刊タイ経済2月20日号

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