台湾の労働事情
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カテゴリー:雇用・失業問題人材育成・職業能力開発統計

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  • 国別労働トピック:2006年4月

失業率低下を抑えるための効果的雇用促進キャンペーン計画

行政院の下に置かれた経済計画・開発評議会(CEPD)は、失業率を4パーセント以下に押さえる提案を行い、今年2月に雇用促進のため5つのグループにターゲットを絞った計画を実行すると表明した。

5つのグループとは、産業構造の変化によって失業した人々、若者、中高年、先住民、および家族を養う女性達であるとCEPDは述べた。

CEPDの担当官は、行政院の会議で2005年度の雇用促進施策の結果および2006年度の計画について報告を行い、「2005年の平均失業率は4.13パーセントで、前年比0.13パーセント減である。2005年12月、失業率は3.86パーセントになり、これは5年ぶりの低い数字である。2005年度に雇用拡大のための施策が講じられなかったならば、失業率は約4.3パーセントになっただろう。政府関連の雇用促進施策により失業率を1年間に0.17パーセント減少できる。」と述べた。

CEPDは、2006年度の失業率は、4パーセント未満に抑えると目標を示している。この目標を達成するため、CEPDは諸機関をまとめて、5つのグループを優先目標とし、彼らの失業の主要因は産業構造の変化に因るものであるため、政府は引き続き投資および主要な建設プロジェクトを促進させるべきであると表明した。これに対して、行政院労工委員会(CLA)も、労働者の職業技能を強化するプロジェクトも助成するが、これは今年の失業率が4パーセント未満に抑えるという目標の達成に貢献するだろうと述べている。

原住民の雇用促進に関しては、CSPDは、12000件の雇用を創出できると期待しており、これにより原住民の失業率は4.7パーセント以下に抑えられるものと予想される。

CLAと経済問題省は、多チャンネルの雇用の機会ならびに中高年の人々の中小企業開業のための、また一家の稼ぎ手である女性のための低金利による貸付金の提供も担当することになる。

科学分野の職業訓練改善を目指す新しいプログラム

行政院全国科学評議会(NSC)は、今年2月、台湾でさらに多くの科学分野の人材を育成するための「卓越性を上回る努力プログラム(Striving beyond Excellence Program)」を発表した。

NSCは、高い能力を有する科学者を育成することは、国の科学革新および技術開発の促進に貢献すると強調する。「卓越性を上回る努力プログラム」は、認可された科学プロジェクトに国家の資金を増やすことで台湾の科学者の質の向上を目指すものである。このプログラムの特徴は、リスクが大きく、かつ革新的な研究プロジェクトを奨励する提案に対して、特に、革新的なプロジェクトに取り組む意欲のある地方の科学者への資金提供として、報奨金を支給するという点である。

これまで台湾では何人かの一流の科学者が生まれているが、このプログラムの構想は、台湾独自の著名な科学者を創出するために彼らのレベルを更に引上げることを目的としている。NSCは、シンガポールや韓国に比べ、台湾の科学者達は科学専門誌に多数の論文を発表しているが、彼らの研究結果が仲間の科学者達によって引用されることは少ないと指摘している。NSCは、優秀な論文の価値は、その内容が持つ影響力によって評価されるものであると考えており、特定のテーマを説明するために信頼すべき情報源として利用される頻度が高いことを評価している。それゆえ、台湾政府は、科学者が発表する論文の質をさらに向上させる必要がると認識している。

このプログラムでは、世界各地の科学者との国際的な共同研究も要求している。従って、NSCは、「台湾のエリート海外研究プログラム(Taiwan Elite Study Abroad Program)」における奨学金の機会を増やし、大学生が「エリート」から学ぶことを奨励し、資格のある科学者が海外で学ぶことを支援する。

地方の科学者達を訓練すること以外にも、NSCは、国外を拠点とする2世の台湾人の帰国を促すために、彼らにとって台湾の魅力を引き出すことをこれまで以上に重視している。

NSCは、台湾の科学者達は、「台湾の地に足をしっかりとつけて立つが、目は世界に向ける」ことを学び、そして出身国に関係なく、分野の非凡な人々との共同研究を快く受け入れなければならない強調する。

世界で2番目に高い人口密度の台湾

今年2月に予算・会計・統計総局(DGBAS)が公表した報告書によると、2005年末現在で、台湾の総人口は2277万人で、前年の水準より8万1000人増加し、人口密度は1キロ平方メートルあたり629人であった。この人口密度は世界中で1000万人以上の人口の国々の中で2番目に高いものである。

増加人口8万1000人の内、自然増(出生から死亡を引いた数)は6万6000人で、純人口移動(外国からの入国移民数から外国への移民数を引いた数)は、1万5000人である。

外国人配偶者数の増加と海外に移住する人々の数の減少が人口増加の主要因であったと報告書は述べている。

世界の人口が1000万人を超える国の中で、バングラデシュの人口密度は1平方キロメートルあたり1001.5人と最も高く、台湾に次ぐ3位は1平方キロメートルあたり486.5人の韓国であると報告書は伝えている。台湾では、台北と高雄を含む2大都市の人口密度が1平方キロメートルあたり1万人に達したと報告書は述べている。

報告書によると、台湾では人口の69.4パーセントにあたる1580万人が都市部に住み、特に、人口の30パーセントは台北と基隆を含む北部に住んでいると指摘している。

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